井上 伸雄 多摩大学経営情報学部経営情報学科教授

 長い間,音声や情報を伝送するのに銅線のケーブルが使われてきました。一方最近は,光ファイバ・ケーブルもよく使われるようになりつつあります。それでも,コストの問題などで,一度に銅線を光ファイバに置き換えるわけにはいきません。そこで,一部を光ファイバに置き換え,既存の銅線の伝送路とつなぐ必要が出てきます。このときに重要になるのは,電気信号を光信号に,また光信号を電気信号に変換するしくみです。

2種類のダイオードを使う

 電気信号と光信号を相互に変換するには,「ダイオード」と呼ぶ半導体素子を使います。ただし,電気信号を光信号に変えるダイオードと,光信号を電気信号に変えるダイオードは別の種類が必要です。つまり,銅線と光ファイバをつなぐには2種類のダイオードを使うのです。

 銅線で送られてきた電気信号を光信号に変換するには,主に「レーザー・ダイオード」と呼ぶダイオードを使います。レーザー・ダイオードは「ガリウムヒ素」という半導体でできていて,電圧を加えると特定の波長の光を発生します。

 ディジタル信号の“1”と“0”を銅線で送る場合,一般的に電圧の高い状態を“1”,低い状態を“0”に対応させます。その伝わってきた信号の電圧をレーザー・ダイオードに加えると,光がついたり消えたりします。光のついた状態を“1”,消えた状態を“0”とすれば,光ファイバを通してディジタル・データを伝えることができます(pict.1[拡大表示])。

 光ファイバで送られてきた光信号を電気信号に戻すには「フォト・ダイオード」を使います。これは,光を当てると光の強さに比例した電流が流れる性質を持っています。光ファイバで送られてきた光信号をフォト・ダイオードに通すと,そのまま電気信号に変換してくれます。