井上 伸雄 多摩大学経営情報学部経営情報学科教授

いろいろな波長の光を混ぜて多重化

 一つの波長の光で信号を送るときの伝送速度は,数十Gビット/秒が限界といわれています。レーザー・ダイオードを発光させる電子回路がこれ以上高速にできないからです。

 そこで,多数の波長の光を用意して,1本の光ファイバの中に混ぜて伝送するという工夫が考えられました。それぞれの波長ごとに伝送速度の限界があっても,さまざまな波長の光を増やせば,それだけ伝送容量を増やすことができます(pict.2[拡大表示])。受信側では,プリズムと同じ原理で,混ざり合った光から波長ごとに選り分けることができます。これらの一連の技術を「波長分割多重」(WDM:wavelength division multiplexing)と呼んでいます。

 例えば,一つの波長で10Gビット/秒の信号を伝送するとしましょう。これを100波長まとめて伝送すれば,10Gビット/秒×100波長=1T(テラ)ビット/秒という超高速伝送が実現できます。