光ファイバは,光の信号を伝送するケーブルです。光ファイバ中の光信号は,銅線中の電気信号に比べて,減衰しにくいのが特徴です。それでも,長距離を伝送するときには,光信号が減衰するので,途中で増幅する必要があります。

 また,光ファイバは帯域がきわめて広いという特徴もあります。このため,超大容量伝送が可能です。これには「波長分割多重」という技術が使われています。

光のパルスで情報を伝送

 光ファイバの中を流れる光はなに色でしょうか?実は無色です。赤外線を使っているので,人間の眼には見えません。光ファイバ伝送で主に使われるのは,赤外線の中で減衰量がもっとも小さい波長である1.55μm(μmは1mmの1000分の1)の光です。

 光を発生する素子は,「レーザー・ダイオード」と呼びます。レーザー・ダイオードは半導体でできていて,一定の電圧を加えると光のビームを出します。太陽光や電灯の光はいろいろな波長の光が混ざっていますが,レーザーの光は1種類の波長だけの“純粋”な光です。

 光ファイバは,ディジタル信号を伝送するのに使われています。中を通るのは,光の短い点滅である「光パルス」です。光のオンとオフを,それぞれ信号の“1”と“0”に対応させます。

 光パルスは光ファイバの中で次第に減衰します。ある程度長い距離を伝わると“1”か“0”か判断できなくなってしまいます。このため,光があまり弱くならないうちに,再生中継器を入れて光を強くします(pict.1[拡大表示])。再生中継器は,受け取った光パルスをいったん電気信号にしてから“1”か“0”を読み,再びレーザー・ダイオードで光を発生して送り出します。

 最近では,いちいち電気信号に変換せずに,光信号のまま増幅できるようになりました。これには,「エルビウム」という元素を混入した特殊な光ファイバを使います。

 光パルスはどのようにして増幅されるのでしょうか。まず,光パルスがこの光ファイバを通るときに,「ポンプ波」と呼ぶ別の波長の光をわきから入射します。ポンプ波のエネルギーは,光ファイバ中のエルビウムを通して光パルスに与えられます。ポンプ波の波長は光信号のものと違うので,雑音になることはありません。