ディジタル信号の中継器はパルスを再生

 銅線を使ってディジタル信号を伝送する場合はどうでしょうか。

 0と1だけを表すディジタル信号は,パルスと呼ぶ方形波の電気信号で伝えます。パルスは,送り出された直後には,きれいな方形波です。方形波の角のシャープな部分は,周波数の高い成分でできています。このようなパルスを銅線で伝送すると,高い周波数の成分だけが大きく減衰するため,パルス波形の角がとれて,なまって歪んでしまいます。

 一度なまってしまった波形は,単純に電圧を増幅しても元のきれいなパルスには戻りません。そこで,ディジタル伝送向けの中継器では,なまった波形からディジタル信号の1か0かを判定し,パルスを作り直してから送るという方法を取っています(pict.2[拡大表示])。この方法には,伝送途中で混入した雑音も取り除かれて,再びきれいな形のパルスを送れるというメリットがあります。

 こうしたディジタル通信の例としてはISDNがあります。電話局と家庭を結ぶ加入者線を使う場合,伝送速度は144kビット/秒です(ISDNの基本インタフェース)。加入者線の長さは10km以下と短いので,中継器なしで伝送できます。

 一方,電話局間をつなぐとどうなるでしょうか。電話局の間を銅線でつなぐ場合,伝送速度が1.544Mビット/秒の伝送方式を使っています。加入者線の場合に比べてかなり伝送速度が速いので,1.5k~2kmしか伝送できません。このため,1.5k~2kmの間隔で,中継器を設置しています。