銅線で信号を伝送すると,信号は次第に弱くなっていきます。このため,長い距離を伝送するには中継器が必要です。アナログ伝送では,中継器は減衰した信号をそのまま増幅します。ディジタル伝送では,中継器が信号を再生して送ります。

アナログ信号の中継器は電圧を増幅

 銅線のケーブルでアナログ信号を伝送することを考えてみましょう。その信号は,電気信号の波形として銅線の中を伝わります。銅線には電気抵抗があるので,波形の電圧が下がってきます。このため,伝送する距離が長くなると信号が弱くなり,受け手は読み取りにくくなります。長い距離を伝送するには,ケーブルの途中に中継器(増幅器)を設置して,信号の電圧を元の大きさに戻す必要があります(pict.1[拡大表示])。

 銅線には,伝送する信号の周波数が高くなるにつれて,信号の電圧がより低くなるという性質があります。このため,周波数の高い信号は長い距離を伝送できません。

 電話網で電話局と家庭を結ぶ銅線(より対線)を,加入者線と呼びます。電話音声の周波数は0.3k~3.4kHzと比較的低めです。加入者線の長さは10km以下のため,電話音声をそのまま伝えることができます。最近は,「ADSL」と呼ぶ技術を使って,加入者線を高速インターネット接続に利用することがあります。この場合,音声よりも高い100k~1MHzの周波数を使うため,伝送距離は5km程度に限られます。

 テレビ映像の周波数は0~4.5MHzとさらに高くなります。そこで,CATVなどで銅線(同軸ケーブル)を使って長い距離を伝送するには,途中に中継器を設けます。