情報を遠くの相手に送るには,相手と自分を通信ケーブルでつなぐのが,もっとも確実といえます。通信用のケーブルには,長い間,銅線が使われてきました。最近は光ファイバもよく使われるようになっています。

電気の信号は銅線で伝送する

 通信では,音や画像などの情報をすべて電気の信号に変換して伝送します。通信ケーブルは,この電気信号を伝送するものです。電気をもっとも通しやすい材質は銀です。しかし銀は高価なので,その次に電気を通しやすい銅が通信ケーブルに使われます。

 もっとも簡単なケーブルは,ビニールなどで表面を覆った2本の銅線を,より合わせただけの「より対(つい)線」です。「ペア線」や「平衡対ケーブル」などとも呼びます(pict.1[拡大表示])。

 より対線の特徴は構造が簡単で値段が安いことです。電話局とユーザー宅を結ぶ加入者線や,LANに使われています。加入者線で見ると,ISDNでは144kビット/秒の速度で伝送できます。最近は,距離が5km程度までなら,ADSLという技術を使って数Mビット/秒の伝送速度も達成できるようになりました。LAN向けでは,距離を100m以下に抑えて,100Mビット/秒の伝送速度を実現しています。

 より対線は,周波数が高い信号の伝送には向きません。周波数を高くすると,線の外部に漏れる信号も大きくなります。一般のより対線は外部からの雑音を遮るものがないので,隣り合ったより対線から漏れる信号などが雑音となって,信号を伝送しにくくするのです。

 銅線を使って周波数の高い信号を伝送する場合は,同軸ケーブルを使います。中心の銅線の周囲を,薄い銅のパイプで囲んだ構造になっています。銅のパイプが外部からの雑音などをしゃ断するので,高周波帯でも高品質の信号を伝送できます。このため,テレビ信号を送るCATVなどに利用されています。同軸ケーブルは,アナログ伝送では500MHz程度,ディジタル伝送では1Gビット/秒程度までの伝送に使えます。