図1 Webブラウザの3 大基本機能
通信機能,HTML解析機能,描画機能の三つを備える。Internet ExplorerやNetscape Navigatorだけでなく,iモード端末などに搭載されたWebブラウザも基本は同じだ。
 今のようにインターネットがだれでも手軽に利用できるのは,偉大なる発明,Webシステムのおかげである。わかりやすいユーザー・インタフェースがインターネットの爆発的な普及を後押ししたのだ。

 このWebシステムの中心的な役割を果たしているのがWebブラウザだ。米イリノイ大学で開発されたWebブラウザMosaic(モザイク)が基となり,その後は米ネットスケープ・コミュニケーションズと米マイクロソフトの熾烈な開発競争がWebブラウザを大きく発展させた。この結果,今ではどこまでがWebブラウザの仕事なのか,そもそも本来の仕事はなんなのか――といったことまでわかりづらくなっている。マイクロソフトのInternet Explorerのように,OSであるWindowsと渾然一体となって動くものまである。

 一方,Webブラウザはパソコンだけではなく,iモードのような携帯電話機や携帯情報端末(PDA)などの機器にも搭載されるようになった。

 どんなWebブラウザであろうと,Webサーバーとのやりとりを定めたプロトコルHTTPと,Webページを記述する言語HTMLという標準仕様をベースにしている。つまり,Webブラウザを突き詰めていくと,基本部分はどんなものでも同じなのだ。

 そこで,すべてのWebブラウザが基本としている仕事を三つに分け,それぞれを詳しく探っていくことにする。この三つの仕事とは,HTTPのやりとりを実現する通信機能,HTMLデータの内容を解読する解析機能,文字や画像を指定された大きさで表示する描画機能である(図1[拡大表示])。