動きのある画像データを圧縮する

 テレビでは,1秒間の映像を30枚の静止画で作っています。1枚の静止画でもデータ・サイズが多いのに,これを何枚も使う動画データは,極めて大きくなります。このため,データ・サイズを圧縮することがさらに大切になります。

 ある画面とその一つ前の画面を比べてみましょう。映像の中で動いた部分だけが変化して,残りの大部分はまったく同じです。つまり,動いて変化した部分だけを送れば,それを前の画面に加えて現在の画面を作ることができます。動いた部分は,画面全体に比べれば小さいので,伝送するデータ量はわずかで済みます(pict.2[拡大表示])。

 動きについてこのような処理を施すとともに,1枚の画面には静止画と同様な圧縮処理を加えます。これによって,動画像のデータ量は全体で1/30以下に圧縮できます。こうした技術は,動画像圧縮の標準である「MPEG-2」で使われています。2000年から始まったディジタル・テレビ放送では,この圧縮方法が使われています。