昨日まで問題なく動いていたネットワークが今日はどこにもつながらない――。こんなトラブルに陥ったとき,ユーザーはどうやって対処しているのだろうか。日経NETWORKでは2002年夏にネットワーク・トラブルに関するアンケートを実施した。その結果から浮かび上がったのはユーザーたちが悪戦苦闘する姿。そこで今回は,その結果をいくつか紹介しよう。

 「安くて高速で常時接続」。こんなうたい文句に大きな期待を寄せて契約したADSLなのに,思ったような速度が出ない。なぜかわからないが,通信も非常に不安定だ――。ADSLに関するトラブル・アンケートから,こんなエンドユーザーの姿が垣間見えた。

 ADSLを含むブロードバンド回線に関連して「困ったことがある」と答えたのはユーザーの68%。ざっと3分の2が何らかのトラブルを経験していることになる。具体的には「事前に予想していたより回線速度がでない」が49.9%,「回線の安定性が悪い」が43.6%でそれに続いた。

 自由記入欄をのぞいて見ると,速度よりも接続の不安定さに言及したコメントが多い。「ADSLでほとんど接続できない時間帯がある」「ある時刻から突然Webへの接続ができなくなった」といったトラブルや「時々速度が非常に低下する」といった傾向さえつかめない現象も起こるようだ。

 「状況を詳しく説明したにもかかわらず満足のいく回答が得られなかった」と,サポートの知識不足や対応の不備を指摘する声も数多く見られた。ただ,こうしたトラブルの多くは原因がわからないまま解決するか,そのまま放置されている。ユーザーもADSLの不安定さにあきらめムードなのかもしれない。

 企業のネットワーク担当者の視点で見ると,LANのトラブルに見舞われているケースが多い。アンケートの「LANの構築・運用時に困ったことがあるか」という質問に対し,企業ネットワークの担当者の9割近くが「困ったことがある」と回答した。企業ネットワークの担当者がこうしたトラブルに遭遇すると,「つながらない」「遅くなった」というユーザーの声を浴びながら社内を走り回り,苦労しながらも原因を見つけ出さなければならない。LANのトラブルに頭を抱えるネットワーク担当者の姿が浮き彫りになった。

 LANで発生するトラブルで多いのは,なんといっても機器の故障。企業ネットの担当者の44.4%が「ハブやLANスイッチが故障した」と回答し,「LANボード/カードが故障した」も26.0%に及んだ。

 意外に多いのが「ネットワーク・プリンタの出力がうまくいかない」という回答。企業のネットワーク担当者のうち31.3%が回答を寄せた。プリンタ自体が故障したケースもあったが,プリンタに出力できなくなったことがきっかけで,LANスイッチなどのネットワーク機器やケーブルの障害に気づいたというケースが多かった。プリンタは日常的に使う身近な機器だけに,トラブルの影響に気づきやすいのかもしれない。

山田 剛良,半沢 智