これからの高速・大容量の通信網を支える光ファイバ・ケーブル。従来の銅線を使うケーブルとは素材も細さもまったく違う。でも一つ共通点がある。実は,LANに使われている非シールドより対線(UTP)ケーブルと同じように,光ファイバの心線もケーブルの中でよっているのだ。でも,UTPケーブルで心線をよっているのはノイズに強くするためだったはず。ノイズの影響を受けない光ファイバで,なぜ心線をよってあるのだろう?

 まず,UTPケーブルで心線をよってある理由を再確認しよう。心線に銅を使ったケーブルは,電気信号を通すことで情報をやりとりする。このとき,電気の通り道となる2本の銅線が平行だと,電磁誘導という現象が起こり,正しく信号が伝わるのを阻害する。そのため,銅線が平行にならないようにLANケーブルの中では個々の銅線をよっている。また,外部からノイズを受けた場合も,心線をよっておくことで,ノイズの影響を受けにくくできる。

 電磁誘導や電気的なノイズは光ファイバには関係ない。それでも,光ファイバ・ケーブルの中に収まっている複数のファイバは内部でよられている。これは,よっておかないとケーブルを敷設しにくくなるからだ。

 ケーブルの中に真っ直ぐなままで光ファイバを入れてしまうと,ケーブルを曲げたときに外側にある光ファイバは引っ張られ,内側の光ファイバには強い曲げ圧力がかかる。引っ張りも曲げも光ファイバにとっては大敵。すぐに折れてしまい,使いものにならなくなる。ケーブルの中でファイバをよっておくと,ケーブルを曲げたときでもファイバにかかる力を分散できるので,心線が折れにくくなるのである。

 光ファイバ・ケーブルの中でも心線をよっているのは,外圧から光ファイバを守るためなのである。

塗谷 隆弘