ディジタル信号は,“1”と“0”という二つの値だけをとります。この値は,電圧値に対応させて表現することができます。例えば,データの“1”を1ボルト,“0”を0ボルトに対応させるのです。

 “010”というディジタル信号を送るとしましょう。この中の“1”に対応する電圧値を見てみると,0ボルトから1ボルトに急上昇し,1ボルトのまま一定時間が過ぎると,急降下して0ボルトに戻ります。このときの波形は長方形のようになります。このような信号を「パルス」といいます。

 これに対して,アナログ信号の波形は滑らかな波の形をしています。パルスのように急に電圧がジャンプすることはありません。

パルスの伝送には広い帯域が必要

 高速伝送を実現するには,パルスを細くする必要があります。つまり,パルスの時間間隔を短くして,パルスを送る速度を速くするのです。

 パルスの時間間隔を短くすれば,その繰り返しの周波数は高くなります。ところが,パルスには,繰り返しの周波数よりもっと高い周波数の成分が必要です。鋭く切り立った長方形状のパルス波形には,高い周波数成分が含まれるからです。つまり,パルスは,0(直流成分)から非常に高い周波数成分までを含んでおり,広帯域の信号といえます。

 高い周波数成分を通さない伝送路で,パルスを送るとどうなるでしょうか。パルスの波形が長方形から崩れて,なだらかになってしまいます。こうなると,前後のパルスの境目があいまいになり,正確なディジタル信号を伝えられなくなってしまいます(pict.1[拡大表示])。つまり,パルスを使った高速伝送には,広い帯域を持った伝送路が必要になります。

 光でもパルスを送ることができます。光信号を発生するレーザー・ダイオードから光が出ているときを“1”,光が出ていないときを“0”として,高速で光を点滅させれば光パルスができます。これを,光ファイバを使って遠くまで伝えることができます。