ルーターはパケット単位に中継先を切り替える

 インターネットでデータ通信をする場合は,電話のように最初に相手の番号を送って回線をつないだりはしません。相手のアドレスを付けたパケットを作り,それをルーターに届けます。ルーターは,パケットのアドレスを読み取り,それを頼りにパケットを相手先まで届けます(本誌2001年5月号)。このような通信方式を「パケット交換」と呼びます。

 ルーターはパケットを受け取ると,ルーター内にある経路表とパケットのアドレスを照合して,次のルーターへの回線を選びパケットを送ります。こうしてパケットはルーターを次々にリレーして送られるのです(pict.2[拡大表示])。

 ルーターを使うネットワークでは,コネクションを作らないで情報を送ります。このような通信のやり方を「コネクションレス型」通信と呼びます。最初に回線をつなぐ処理が不要なので,機器やネットワークの構成が簡単になり,安上がりにできます。また,違う目的地のパケットが同じ回線を共有できるため,回線の使用効率が高いというメリットがあります。

 その半面,通信相手との間で回線を占有できないので,送った情報が確実に届くという保証はありません。途中の回線が混雑して,回線が空くまで待つことで伝送遅延が大きくなることがあります。

 さらに悪いことには,通信途中でパケットが失われるおそれがあります。パケットが失われると正しい情報を伝えることができません。そこでパケット通信では,パケットが届かない場合にそのパケットだけをもう一度送り直すしくみと組み合わせて使うことがよくあります。