LANの中核装置であるLANスイッチ。性能も向上し,すべてのポートから最大データ転送速度でデータが入ってきても,データを廃棄せずに転送する製品がほとんどだ。こうした製品はカタログに「ノンブロッキング」と書かれていたりする。

 では,100Mイーサネットのポートを4個備える全2重対応のLANスイッチでノンブロッキングと表示されていたら,このスイッチの最大転送速度はいくつになるのだろう。全2重とは,例えば100Mビット/秒で送信しながら100Mビット/秒で受信もできるということ。そう考えると,前述のLANスイッチ全体の転送速度の合計は,

 100Mビット/秒×2(全2重)×4(ポート)

で計算でき,800Mビット/秒となる。こう思っているユーザーが以外と多いようだが,実は正しくない。

 確かに,各ポートを出入りするデータ量を観察すると,4ポート合わせて800Mビット/秒でデータを処理しているように見える。しかし,LANスイッチの内部でのデータ処理量を考えると,そうとは言えない。あるポートからLANスイッチに入ってきたデータは,かならずどこかのポートから出ていくからだ。つまり,あるポートに100Mビット/秒で入ってきたデータは,どこかのポートから100Mビット/秒のデータとして出ていく。このとき,ポートに着目すると入ってくるのと出ていくので合計200Mビット/秒のように見えるが,LANスイッチ内部では100Mビット/秒の処理しかしていない。

 したがって,ノンブロッキングの4ポートLANスイッチであれば,内部でのデータ処理量は最大でも

 100Mビット/秒×2(全2重)×4(ポート)/2(入力と出力)

で,結果は400Mビット/秒になるのである。

高橋 健太郎