通信は双方向が基本です。ところが同じ双方向通信でも,電話のように両方が同時にしゃべっても話が通じる通信と,トランシーバのように「了解。どうぞ」,「それでは話します」と交互にしゃべらないと話ができない通信があります。同時に話ができる通信を「全2重通信」,一方しか話ができない通信を「半2重通信」と呼んで区別しています。

電話は全2重,LANは半2重

 AとBが通信をする場合を考えてみましょう。全2重通信では,“AからBへ”と“BからAへ”と同時に信号を送れなければなりません。このため,信号を送るための伝送路が二つ必要です。

 もっとも簡単な伝送路は,2本の銅線でできたペア線(より線対つい)のケーブルです。したがって,二つの伝送路を作るには合計4本の銅線を使います。この方式は「4線式」と呼ばれています。

 これに対して半2重通信は,一つの伝送路を切り替えて,“AからBへ”あるいは“BからAへ”と交互に信号を送ります。同時に信号を送れません。この方式は,1対のペア線すなわち2本の銅線で済むので「2線式」と呼びます(pict.1[拡大表示])。

 二人が同時に話すことが多い電話やISDNなどでは,全2重通信が前提になります。半2重通信は,コンピュータが交互にデータをやりとりするデータ通信でよく使われます。イーサネットを使ったLANがその例です。