ネットワークの展示会やパソコン量販店などに行くと,ネットワーク製品のカタログが数え切れないほど並んでいる。そうしたカタログをよくよく見ると,一つや二つは意味が分からない用語やマークに出くわすだろう。例えば,「VCCI」や「UL」といったロゴ・マーク。これらが何を意味しているのか,どういう基準でそのマークが付けられているのか,正確に説明できる人は少ないのではないだろうか。

 VCCIは,Voluntary Control Council for Interference by Information Technology Equipmentの略で,国内の情報処理装置等電波障害自主規制協議会およびその認定規格のこと。つまり,その機器が電磁波ノイズを出さないように対策していることを示すマークである。VCCIにはクラスAとクラスBの2段階の規格がある。クラスAはオフィスや工場向け,クラスBは家庭向けの機器に位置づけられる。クラスAよりクラスBの方が基準が厳しく,VCCIのマークを付けられるのはクラスBに合格した機器だけである。

 各メーカーがVCCIマークをカタログや機器に付けるにはまず,その機器が出す電磁波ノイズを測定しなければならない。測定にあたっては,外部からの電波を遮断した部屋にVCCI指定の測定装置を置き,そこでネットワーク機器を実際に動作させたときに出る電磁波ノイズを調べる。調べた結果が,VCCIの定める基準値の範囲内であれば認定に合格する。ただし,VCCIは自主規制の団体なので,認定を受けるのに機種の型番を提出するだけでよい。測定したデータはいらない。

 次のULは,米Underwriters Laboratoriesという企業が検査・認定する安全対策の規格。機器に火災や感電などを防ぐための適切な措置がとられているかどうかを認定した米国の規格である。

 ULのロゴは,火災対策や落雷対策などの検査を実際に行い,合格したことを示すマークである。例えば火災対策では,機器をガーゼで覆って動作させたときにガーゼに着火しないかということを調べる。ULの取得に強制力はないが,米国ではほとんどの州でULの取得を義務づけている。

 国内にも,電気製品の安全性を定めた電気用品安全法という規格があるが,これは家電機器が対象。ネットワーク機器を含む情報処理装置は対象外なので,国内のネットワーク機器でも,UL規格を取得する場合が多い。

半沢 智