WindowsXPには,Professional/Home Editionとも「ネットワーク・セットアップ・ウイザード」というツールが付いている。これを使えば,ユーザーはウイザードが表示した選択肢を選んでいくだけで,OSが自動で必要なソフトを組み込んで設定してくれる。しかし,そこには落とし穴がある。

 ウイザードが表示した選択肢の中から「小規模オフィス・ネットワーク」を選んだ場合がその一つ。知らぬ間に,ネットワーク経由で複数のユーザーが利用できる共有フォルダが勝手に設定されてしまうのだ。しかも,読み出し,書き込み,削除といったすべての操作が,だれでもできる状態になる。

 社内LANにつなぐWindowsXPマシンで知らないうちにこうした設定になっていると,社内LANを通じてパソコン中の大切なデータが盗まれたり,ウイルスなどの不正プログラムを仕掛けられたり,といった事態が起こらないとも限らない。インターネットに直接つながるマシンでは,その危険性はさらに増す。

 この共有フォルダは「SharedDocs」という名前でネットワークに公開される。位置は「¥Documents and Settings¥ALL Users¥共有ドキュメント」で,ユーザーでも気付きにくい。確認するには,マイコンピュータを開いて,共有ドキュメント・フォルダのプロパティを表示させてみればわかる。また,スタート・メニューから管理ツールの「コンピュータの管理」を起動すれば,そのWindowsXPマシンで公開しているすべての共有フォルダの詳細情報を表示できる。

 ユーザーが面倒なネットワーク設定で悩まずに済むようにと考えられたWindowsXPのウイザードだが,手軽さの裏には危険も抱えている。

三輪 芳久