パソコンを新規に導入したり,Webブラウザをインストールすると,プロキシを設定する画面が出てくる。管理者やまわりの人から,そこには「xxxと入れておけばいいんだよ」なんて教えてもらうことが多いだろう。そのあとは,プロキシの存在をあまり気にすることはない。

しかし,設定を間違えるとインターネットへまったくアクセスできなくなる。実は非常に重要な役割を果たしているのである。今回は,日ごろ何気なく利用しているプロキシに焦点を当ててみよう。プロキシのしくみと役割がわかれば,インターネット・アクセスの本当の姿が浮き彫りになる。

ネット・アクセスを代行し
高速化とセキュリティ向上に使う

 まずはプロキシとはどんなものなのか——。働きと,それによって得られる利用者のメリットを見てみよう。

クライアント処理の代理

 プロキシの働きを一言でいうと,「ユーザーからの要求を受け取って,代わりに目的のサーバーへアクセスして必要なデータを取ってくること」である。こうした働きはソフトウエアで実現され,ソフトをインストールしたサーバー・マシンのことをプロキシ・サーバーという。このため,プロキシという言葉は,多くの場合,プロキシ・サーバーのことを指す。

 具体例を挙げて,もう少し詳しく働きを見ていこう。例はWebアクセスである。プロキシ・サーバーは,クライアントとWebサーバーとの間に位置して,ユーザーからの要求を受ける。するとプロキシ・サーバーは,クライアントの代わりに目的のWebサーバーへアクセスしてWebページのデータを取ってくる。そして取ってきたデータをクライアントへ返す。

 クライアントはプロキシ・サーバーへ要求を送れば,あとはプロキシ・サーバーが必要な処理を行い,結果だけを返してくれる。本来ならクライアントが行うべき処理をすべてプロキシ・サーバーが代行してくれるのである。プロキシ(代理)の由来はここにある。

図1 プロキシ・サーバーの設置場所
プロキシ・サーバーは,主に企業LANやプロバイダのネットワークに設置されている。ともにユーザーが設置するのではなく,そのネットワークの管理者が設置する。プロキシ・サーバーは,複数のクライアントからの接続要求を受け付け,それぞれのクライアントに返答する。

クライアントとサーバーの間に設置

 では,プロキシ・サーバーはどこにあるのか。基本的にはクライアントとサーバーのどちらとも直接通信できる場所にさえあれば,どこに設置されていてもかまわない。しかし,一般的な設置場所としては,大きく分けて2カ所ある(図1[拡大表示])。

 一つは,社内LANとインターネットの境界部分。これは,企業のネットワーク管理者が,企業内のユーザーのために設置したものであり,社外から利用することはできない。

 もう一つは,インターネット接続事業者(プロバイダ)のネットワーク内部。これは,自社のダイヤルアップ接続ユーザーなどのためにプロバイダが設置したものだ。通常は,ダイヤルアップ接続したユーザーしか利用できない。ただ,プロバイダがプロキシ・サーバーを設置する意味は薄れつつある。このため,プロキシ・サーバーを用意していないプロバイダもある。

 このように,プロキシ・サーバーは,企業ネットワークからでも家庭からでも利用できる。