フレームはFCSを使ってチェックする

 データ通信では,データ信号を一定の長さに分割し,フレームの形にして伝送するのが普通です。このフレームは,データのほかに「FCS」(フレーム・チェック・シーケンス)と呼ぶビット列を含んでいます。FCSは,フレームにあるビットの誤り検出や誤り訂正に使います。

 FCSの計算はちょっと複雑です。まず,送りたいデータの“1”と“0”の組み合わせを,数式で表します。この数式を,ある決まった数式(生成多項式という)で割ります。このときの「余り」(これも数式)を“1”と“0”の組み合わせに直します。これがFCSです。

 受信側では,受け取ったデータを同じ生成多項式で割り,「余り」を求めます。これが受け取ったFCSと一致すれば,エラーはなかったということになります。逆に,一致しなければ,ビット・エラーがあったことになります(pict.2[拡大表示])。このように,FCSを使えば誤り検出ができます。また,さらに使い方を工夫すれば誤り訂正も可能です。

 FCSを使う方法は,単純にパリティ・チェックを加えるよりも,少ないビット数で済むため,伝送効率を高くできるという特徴があります。そこでFCSは,高品質が要求される高速データ伝送や,ビット・エラーが多く発生する携帯電話やPHSといったディジタル移動通信などに広く使われています。