データ信号を伝送媒体に合わせて変調

 電話回線は,音声の周波数帯域に合わせて作られています。一方,データ信号の周波数は音声と異なります。このためデータ信号を直接電話回線に通すと,波形が壊れてしまい,正しく信号を送れません(pict.2[拡大表示])。そこで,音声帯域内に選んだ周波数の搬送波でデータ信号を変調する方法が考え出されました。これが「モデム」(変復調装置)です。モデムは,伝送媒体に合わせてデータ信号を変調したり,復調したりする通信機器です。

 低速データ伝送には周波数変調が,2400~4800ビット/秒のデータ伝送には位相変調が使われます。9600ビット/秒以上のモデムは,振幅変調と位相変調を組み合わせた直交振幅変調(QAM)を利用します。QAMでは,振幅と位相の組み合わせとデータのビット列を対応させて,高速データ伝送を実現します。また,ディジタル無線伝送やディジタル放送には,位相変調あるいは直交変調が使われています。