IT革命が叫ばれる中,政府も重い腰を上げて,ITに関する政策に本気で注力しはじめている。そして,新聞やテレビなどの報道で耳にする機会が増えているキーワードに「e-Japan」や「電子政府」などがある。これらのキーワード,何か関係があるのだろうか。そもそもそれぞれ何を意味しているのだろう。

 まず最初に,e-Japanから。e-Japanは,政府のIT戦略本部が2001年1月に打ち出したe-Japan重点計画の略称である。この計画が目指すのは,「日本を5年以内に世界最高水準のIT国家にする」こと。5大目標を掲げ,それらを実現するための方策を列挙している。

 実はこの目標の一つに電子政府がある。ほかの目標は,「世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成」とか,「電子商取引等の促進」など。どちらかといえばスローガンに近い。

 しかし電子政府は,その言葉からイメージする漠然としたものではなく,政府自身が実施項目と実施スケジュールを事細かに決め,予算をつけたため,極めて現実的で具体性に富むものとなっている。
 
 それでは,電子政府とはなんだろうか。ひとことで言ってしまうと,行政サービスを電子化することである。行政組織が持つ各種の情報を電子化してデータベースに格納し,それをユーザー(国民)に電子的に提供できる体制を整える。これにより,サービスを受ける国民の利便性を高めるのが狙いだ。

 わかりやすい例に,引っ越しなどに伴う転入・転出の手続きがある。現在の手続きでは,引っ越し前の住所がある市町村役場と,引っ越し後の住所がある市町村役場の両方に出向いて手続きを進めなければならない。電子政府が実現すれば,引っ越し後の市町村役場でだけ手続きをすればよくなる。

 ほかにも,さまざまな申請や届け出が,自宅のパソコンからインターネットを通じて処理できるようになる。このしくみを支えるネットワーク作りや,国民に配られるICカードなどに関する技術検討はすでに始まっており,2003年度にはインフラ部分が整う見通しだ。

高橋 健太郎

関連リンク
e-Japan重点計画の内容
電子政府の総合窓口