符号を使って「色分け」する

 多重化には,前に述べたFDMやTDMと違って,周波数や時間を共有できる方法もあります。各チャネルの信号を符号によってそれぞれ「色分け」して,区別できるようにするのです。この方法は「符号分割多重化」(CDM)と呼び,やはりディジタル信号に使われます(pict.2[拡大表示])。

 CDMでは,多数のチャネルの信号を送る際に,それらが混ざって,雑音のようになって受信側に届きます。受信側では,送られてきた雑音状の信号に,利用したいチャネルに対応する符号を加えます。そうすると,そのチャネルの信号だけが復号化されて,取り出すことができるのです。ほかのチャネルの信号は雑音のままで,中味はまったくわかりません。

 CDMは単に符号を加えるだけなので,いろいろな伝送速度の信号を簡単に多重化できるという利点があります。この方法が使われ始めたのは,比較的最近のことです。この技術を応用したCDMA(符号分割多元接続)が,次世代携帯電話の「IMT-2000」に採用されることが決まっています。