ネットワークに障害が起こったとき,管理者はOSのネットワーク・コマンドを駆使してトラブル・シューティングする。ただしネットワーク・コマンドの使い方を調べるのが面倒だったり,自分とは別のマシンから実行したくなったりすることもあるだろう。そんなとき,インターネット上にあるツール提供サイトが役に立つ。

 今回は,それぞれ特色のある三つのサイトを紹介することにしよう。まずWebサイトの所有者を調べることができるサイト,次に自分のサーバーがちゃんとインターネット・ユーザーに見えているのかを調べるサイト,最後はIPアドレス割り当て時の面倒な2進法計算を肩代わりしてくれるサイトである。

 Webサイトの所有者を調べてくれるサイトでは,目的のWebサイトのドメイン名を入力するとそのドメイン名の所有者を調べて表示してくれる。これは,会社名から類推したURLを打ち込んでWebページを表示させたものの,それが本当に意図した会社のページなのかよくわからないときに役立つ。また,最近では自分が使いたいと思っているドメイン名がすでに割り当て済みなのかどうかを確認するのにも使える。下に示した「IPドメインSEARCH」では,ドメイン名だけでなくIPアドレスの割り当て先も表示してくれる。

 ドメイン名やIPアドレスからそれらの割り当て先を見つけるしくみは,JPNIC(日本ネットワークインフォメーションセンター)などのアドレス管理組織が提供している「whois」というサービスを利用したものだ。whoisは,ネット管理者がネットワーク運用のために使うことを目的に開示されているデータベースである。こうしたことから,例えばJPNICは,「whoisで引き出したアドレス情報をダイレクト・メール発送用に使う」というようなネット運用目的以外での利用を明確に禁じている。こうしたルールはきちんと守りたい。

 自分のサーバーを調べるサイトとしては,例えば「Traceroute経路情報」がある。このサイトにアクセスし,自分のサーバーのIPアドレスまたはドメイン名を入力すると,そのサイトと自分のサーバーを結ぶ経路を見つけ,その経路上にあるルーターまでの到達時間を次々と測定・表示してくれる。自分で立ち上げたサーバーがちゃんとインターネット・ユーザーに見えているのかを確認するときや,Webアクセスしても応答のないサーバーがあるとき,そのサーバーが本当に存在するのかを調べるときに使える。

 traceroute(トレースルート)とは,ネット管理者御用達のネットワーク・コマンド。Windowsも標準装備しており,自分のパソコンと目的のサーバーの経路を表示させることができる。ただ,自分のサーバーがインターネット・ユーザーに見えているかどうかを確認したいのなら,インターネット上の自分とは別の場所からもtracerouteで辿りつけるかどうかを調べておきたい。インターネット上にあるこうしたサイトをいくつか見つけ,それらから自分のサーバーまでの経路が見えているなら安心できるというわけだ。

 最後に紹介するのは,LANの設計などで初級ネット管理者が必ずつまづくIPアドレス関連のお役立ちサイト。例えば社内のネット管理者ならば,「クラスCのアドレスでサブネット・マスクが28ビットのときは,ホストが○台でネットが○個だから~」といった計算がしばしば必要になる。この作業は,2進法になれていないとちょっとまごつく。そんなとき,「アドレス変換ツール」というサイトがなかなか役立つ。10進数・16進数・2進数の変換だけでなく,クラスとサブネット・マスクの値から,サブネットの数とホスト台数を瞬時に表示してくれるサービスもある。

 以上,目的別に三つのサイトを紹介してきたが,同様のサイトは他にもある。検索エンジンで調べれば,似たようなサイトがいくつか見つかるはず。ネットワークの勉強にも役立ちそうだ。

半沢 智

関連リンク
ドメイン名/IPアドレスからそれらを割り当てられた組織を検索できる「IPドメインSEARCH」
JPNICが規定するJPNICデータベース(whois検索)の利用目的
目的サイトまでの経路を表示する「Traceroute 経路情報」
IPアドレスを瞬時に変換表示する「アドレス変換ツール」