テクニカルエンジニア(ネットワーク)試験(TEN試験)の受付が始まっている。TEN試験は経済産業省が管轄するIT技術者向けの国家資格「情報処理技術者試験」のカテゴリの一つ。合格しても何らかの特権が得られるわけではなく,「あなたは試験に合格するだけのスキルがありますよ」と国が認定してくれるだけである。しかも試験はかなりの難関で,昨年の試験では合格率がたった7.4%だった。今回は,こんなTEN試験に今からでも合格できる試験対策を見ていこう。

 TEN試験は年に1度,秋にしか行われない。今年の試験日は10月19日。今回の申し込みを逃すと,来年の10月まで受験のチャンスはない。それなら,思い切って申し込んでみてはどうだろうか。

 ただ,「そんなに難しい試験に今からチャレンジして果たして合格できるのだろうか」という疑問がわく。この疑問に,日経NETWORKの連載でもおなじみのアイテック情報技術研究所の長谷和幸氏は「ある程度ネットワークの経験のある技術者なら,8月から10週間の試験対策で合格は十分可能だ」と答えてくれた。その対策のキモは,残された10週間を半分に分け,ポイントを絞って勉強することだという。

 まず最初の5週間は,TCP/IPの勉強だけみっちりやる。広大な試験範囲をすべてカバーするのをあきらめ,TCP/IPだけに絞り込むのだ。その際,解説書を読むだけではなく,パケット・キャプチャ・ソフトなどを使って「自分で手を動かしてプロトコルの動作を確認しておくのが重要」(長谷氏)。Webアクセスや電子メールのメカニズムを実際に目で見て体験して理解できているレベルでないと,合格は難しい。

 後半の5週間は,過去問題集から主に午後?問題をできるだけたくさん解いて試験のスタイルに慣れる。情報処理技術者試験の設問の仕方や解答の作り方にはかなりの癖がある。設問の意図を正しく理解し,問題が要求している答えを導くには「過去問を解いて慣れるのがいちばんの早道」(長谷氏)。

 こうした対策が有効なのは,TEN試験に独特の合格基準があるから。当日の試験は,(1)マークシート方式の午前,(2)筆記の午後I,(3)2問のどちらかを選択する記述式の午後II――という三つのパートに分かれる。しかし,実は午後II問題の出来だけで合否が決まると言われている。午前と午後Iの成績は,午後IIを採点するかどうかの「足切り」に使われているようなのだ。

 さらにTEN試験では「今現在使われているネットワーク技術」から試験問題が出題される傾向が強い。現在のネットワーク技術はほとんどがTCP/IPをベースにしているので,必然的にTCP/IPに関連した出題が増えているのがここ数年の傾向である。

 両者を考え合わせると「TCP/IP関連の出題だけ完璧に回答できれば午前と午後Iの足切りはクリアできる。午後IIのどちらか1問はTCP/IPを使った技術から出題される可能性が高い」と結論付けられるのである。

 TEN試験の申し込み締め切りは8月15日。受付は郵送のみで当日消印有効である。受験申込書は「情報処理技術者試験センター」に請求すれば入手できる。受験料は5100円で郵便振り込みで支払うしくみ。

 実は,当初は「情報処理技術者試験センター」のWeb経由で申し込みが可能だった。しかし事故があったため,7月19日以降はインターネット経由の申し込みが中止されている。

山田 剛良

関連リンク