ギガビット・イーサネット(ギガイーサ)に対応したLANスイッチの値下がりが続いている。より対線ケーブルを使うギガイーサ規格1000BASE-Tを4ポート持つLANスイッチの実売価格が,2万円を切ったのが2002年後半。この2月には定価1万2000円の製品が登場した。実売価格で見ると約1万1000円まで落ちている。この値下がりが,まだまだ続きそうなのだ。

 理由は二つある。

 一つは,LAN機器の低価格化を推し進めてきたメーカーがギガイーサ対応LANスイッチの販売を始めたこと。2002年末,プラネックスコミュニケーションズが定価1万6800円の製品を発売。そして2003年2月に定価1万2000円の製品の出荷を始めたのがメルコである。

 メルコは,100メガのLANスイッチや無線LAN機器などで1万円を切る製品をいち早く出荷し,コンシューマ市場を切り開いてきた。そのメルコがギガイーサ・スイッチの市場にも参入してきたことで,メルコと同じように低価格戦略をとるコレガやアイ・オー・データも,「他社に対抗できる値付けで新製品を準備中」と口をそろえる。こうした役者がそろえば,ギガイーサ・スイッチの価格競争が本格化し,価格が一気に数千円まで下がる可能性が高い。

 もう一つの理由は,LANスイッチの心臓部であるコントローラ・チップがどんどん低価格化していること。

 現在は,台湾のタマラック(2002年10月に台湾アイシープラスが買収)がギガイーサ対応LANスイッチ向けの低価格チップの市場をリードしている。しかし,他社が対抗チップを投入してくれば,チップ・メーカー同士の競争が進み,チップ自体の価格が安くなる。

 技術的に見ても,チップはまだ値下がりしそう。というのも,今のコントローラ・チップはディジタル信号を実際のLANケーブルに流す信号に整形するPHY(ファイ)の機能を含んでおらず,まだ集積化の余地が残っているからだ。ここが一体化されれば,チップの価格はさらに下がり,100メガLANスイッチと大差ない価格のギガイーサ・スイッチが出てくるだろう。

半沢 智