2003年1月1日,「IT投資促進税制」と呼ばれる減税制度がスタートした。適用期間は,2003年1月1日~2006年3月31日の3年余り。なんでもネットワーク機器を購入すると減税されるという。景気低迷が続くなか,減税とはうれしい話だ。そこで今回は,この制度がどんな内容なのか再度チェックしてみよう。

 IT投資促進税制の対象者は,事業活動をしている企業または個人。資本金の差で減税対象となるネットワーク機器の購入額に違いがある。資本金3億円以下の企業の場合で1年間で合計140万円以上,資本金が3億円を超える企業は600万円以上のネットワーク機器を購入したときに減税の対象になる。

 減税対象となるネットワーク機器は,パソコン,ルーター,LANスイッチ,IP電話装置,無線LAN機器などなど。主だったネットワーク機器はすべて対象になると考えていいだろう。

 この税制におけるユーザーの選択肢は大きく二つある。それは,(1)購入した総額の10%を会社の法人税から差し引ける(税額控除),(2)購入した総額の50%を購入年度の減価償却に加えられる(特別償却)――というものだ。

 例えば,資本金3億円以下の企業が1年間で総額140万円のネットワーク機器を購入した場合,(1)の税額控除を選ぶと,会社が支払うべき法人税額から14万円(140万円の10%)を差し引ける。一方,(2)の特別償却を選ぶと,70万円(140万円の50%)を購入した年に経費として計上できる。こちらは,機器を購入した年度に限って,納める法人税額を少なくできる。

 どちらの選択肢を適用するかは,購入した年の会社の状況や,数年先の見通しによって変わるだろう。どちらにしても,企業で使うネットワーク機器の多くが減税の対象になっているだけに,賢く利用したい。

半沢 智