今,そのパソコンをインターネットにつないでいるLANケーブルは,どこでいくらで買ったものですか?──。この質問に答えられる読者は少ないのではないだろうか。おそらくほとんどのユーザーは,そんなことまで覚えていないはず。まして,こだわりをもってLANケーブルを選んている人はごくごく少数だろう。でも,パソコン・ショップではさまざまなLANケーブルが売っている。価格も,例えば10mのケーブルで,下は500円台から高いものだと3000円台まで実に6倍もの開きがある。「どのLANケーブルでも同じ」と思っていていいのだろうか。安い製品だと,スループットがでないなんて心配は要らないんだろうか。

 そこで,売れ筋の国産ブランド品と最低価格帯のノーブランド品のケーブルを用意して,両者の性能を比べてみることにした。ブランド品は,実売価格で900円程度の10mの製品。ノーブランド品は東京の秋葉原のパソコン・ショップの店頭で見つけた500円台の10mのケーブルである。それぞれのLANケーブルで測定したのは,NEXT(近端漏話)と呼ばれる値。これは,ケーブルが内部で受けるノイズの影響度である。詳しい話は省くが,NEXTの影響度が大きいとそれだけノイズの影響を受けやすく,結果としてスループットが落ち込みやすくなる。

 実験したところ,ノーブランド品はブランド品に比べて約4倍近くもノイズの影響を受けやすいという結果が出た。価格の差は,性能の差だったのである。もしお使いのLANケーブルがノーブランド品なら,周辺のノイズの影響で本来100Mビット/秒出るはずの伝送速度が出せていない状況なのかもしれない。心当たりがある方は,ぜひケーブルをブランド品に交換してみることをお薦めする。もしかしたら,それだけで劇的にスループットが改善するかもしれない。

高田 学也