電話線や電力のケーブルは,電柱の上を伝って各家庭まで届く。でも,電柱の上には,大量のケーブルが敷設されている。電話線や電力線のほか,有線放送やCATV用の同軸ケーブル,FTTH(fiber to the home)用の光ファイバなどいろいろな種類の通信ケーブルが引かれているはずなのだが,どれが何に使われているケーブルか見分けるのは難しい。このように,パッと見は無秩序な電柱のケーブル群だが,実は案外簡単に見分けられる。電柱に通信ケーブルを敷設するのにはルールがあるからだ。

 まずケーブルの敷設されている高さで種類がわかる。例えば東京電力が所有する電柱の場合,いちばん上には高圧の配電線が引かれる。その下は低圧の配電線だ。電話線や光ファイバなどの通信用ケーブルが引かれるのはその下になる。具体的には,低圧配電線の60cm下,地上5.5~7mまでの範囲が通信用のケーブル向けの場所と決まっている。

 地上5.5~7mまでの範囲に最大6カ所,ケーブルを固定する金具がある。このうち下の3カ所はNTT専用。いちばん上の7mの場所は東京電力用に確保されている。CATVや有線放送などNTTや電力会社以外のケーブルは,原則として6.4mと6.7mの2カ所の金具を使うルールになっている。CATVや有線放送,高層マンションのビルかげ世帯向けのTVアンテナ配線などその他全部がこのスペースを使う。

 敷設されたケーブルの持ち主はちょっと難しい。一つの方法は,通信ケーブルに巻いてあるテープの色で見分け方法。例えば東京都の23区内では,東京電力の光ファイバは青と赤のゼブラ模様になっており,有線ブロードネットワークスが引いた有線放送用の同軸ケーブルは黄色と黒,その子会社であるユーズコミュニケーションズのFTTH用の光ファイバは緑と黒といった具合だ。こうした色分けはもともと,工事をするときに間違えないように工夫したものだ。

山田 剛良