パソコンとADSLモデムはイーサネットでつなぐ。しかし,電話局に置かれたADSLモデムの向こう側には別の通信回線が待っていて,プロトコルを変換してからインターネットにつないでいる。こうしたムダな変換をなくして,電話局からユーザーの家までの通信回線にもイーサネットを取り入れようと考えている通信事業者や通信機器メーカーがいる。こうした企業が集まって2001年12月に設立した業界団体がEFMA(Ethernet in the First Mile Alliance)である。

 EFMAの目的は,電話局と家庭間の回線(アクセス回線と呼ぶ)に,イーサネット技術をベースとした標準の通信方式を利用すること。そのために,現在IEEE(米国電気電子技術者協会)が策定中のIEEE802.3ah(通称EFM)を使う方針だ。

 では,通信事業者やメーカーにとって,電話局とユーザーの家までのアクセス回線にイーサネット技術が使われることのメリットは何なのか。EFMAの参加メンバーは,「イーサネット化でアクセス回線の導入コストを低減できる」(エクストリーム・ネットワークス)と主張している。つまり,直接メリットを享受するのは,広域イーサネット・サービスなどを提供する通信事業者や機器ベンダーなのである。

 主張の根拠は,アクセス回線にイーサネットのMACフレームをそのまま流せば,現状のADSLモデムよりも伝送機器を単純にできるから。また,標準が固まり世界中で利用されるようになれば機器の量産効果も出てくる。

 本当にこうしたメリットがEFMにあるならば,最終的にはユーザーにも朗報である。導入コストや運用コストが抑えられれば,10Mビット/秒や100Mビット/秒,さらにはギガビット級の高速なアクセス回線の利用料も現状より安くなるはずだからだ。

高橋 健太郎

<詳しくは日経NETWORK2月号の「できごとズームイン」欄をご覧下さい>