ADSLやFTTHなどを利用したインターネットへの常時接続サービスが急成長すると,インターネットで使えるIPアドレス(グローバルIPアドレス)が足りなくなるのでは?──こんな不安が頭をよぎったことはないだろうか。まさにこの疑問を考えるうえでの指針となる調査結果が公開されている。

 調査したのは,国内におけるIPアドレスの管理・割り当て組織である「日本ネットワークインフォメーションセンター」(JPNIC)。JPNICからIPアドレスの割り当てを受けている274の組織(プロバイダなど)に,今後のIPアドレスの必要数と具体的にIPアドレスが必要になるサービスの種類(CATVインターネット,ADSL,FTTHなど)について尋ねた。

 結果は,今後2年で,現在使っているIPアドレスの総数の2倍程度の新アドレスが必要になるというもの。プロバイダは,ADSLとFTTHで多くのIPアドレスを使うことになると見込んでいる。

 ここで気になるのは,これだけ大量のIPv4アドレスがすぐに入手できるかということ。数年先にはIPv4アドレスが枯渇するといった話があるなか,IPアドレスの管理組織がアドレス配布を渋るようなことはないのだろうか。

 JPNICに聞いてみると,「IPアドレスは,プロバイダが必要な数だけ提供できている。上位組織からJPNICへの割り当てもとくに滞る事態は起こっていない」(IP事業部IPアドレス課の江面祥行課長)とのこと。ADSLサービスで急速に会員を増やしているYahoo! BBも,「今のところ,IPアドレスの割り当てで業務に支障が出たことはない」という。

 どうやら当面の間,IPアドレス割り当てはスムーズに進みそう。ならば,常時接続では複数の固定IPアドレスを安く使えるサービスが欲しいところだ。

斉藤 栄太郎

<日経NETWORK11月号では,JPNICの調査結果やアドレス割り当て状況を紹介する記事を掲載しています。ぜひ,ご覧下さい>