ネットワーク技術者不足は切実な問題だが,新たに人を雇うのは難しい--。日経NETWORKが実施したアンケート調査で,ユーザー企業のこんな「本音」が聞こえてきた。

 「ネットワーク時代のIT技術者に関する調査」と題したこの調査は,2000年8月に上場企業約3400社にアンケート票を配布して実施したもの。1247の企業から回答を得た。アンケートでは,情報システム部における技術者不足の実態,各種サーバーの運用状況,ネット構築・運用の問題点などを尋ねた。

 技術者不足に関する具体的なアンケート結果を見てみよう。まず,「社内ネット/サーバーを運用する技術者の数」について聞いてみた。この問いについては,実に74.4%の企業が「不足している」と回答した。

 「社内ネットの構築で最も困ることはなにか」という質問でも,「社内に専門家がいない,あるいは不足している」という答えが一番多く,76.9パーセントの企業がそう感じていると回答した。「社内ネットの運用で最も困ること」という質問でも同様の結果が出た。42.7パーセントの企業が社内に専門家がいないことを挙げたのだ。ネット技術者不足が深刻な状況であることがうかがえる。

 不足しているとすれば,なんとかして技術者を増やさなければならない。すぐに思いつくのは,経験のある技術者を中途採用すること。ところが,ユーザー企業の回答は違った。技術者不足の対策としてネット技術者を採用計画を尋ねたところ,70.6パーセントの企業が「特に採用の予定はない」と回答したのである。

 ではどうするのか。「社内で担当者を養成する」(44.9パーセント),「外部に委託する」(36.4パーセント)と,多くの企業は社員の再教育などでまかなうか,外部の力を活用してしのぐ考えだ。

 ただし社内での育成については,なかなか難しいと考えている企業が多い。アンケートの自由記入欄からは,「教育する体制が整っていない」,「技術の進歩が早く,追いつけない」と社内教育の難しさを指摘する声が聞こえてきた。IT技術を企業ネットに取り入れる必要性は増す一方だが,技術者不足は当分続くことになりそうだ。

斉藤 栄太郎=日経NETWORK)

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