最近のディジタル通信は,同期伝送と呼ばれる方法で通信します。同期伝送では,クロックと呼ばれるタイミング情報に合わせて,ディジタル信号を送信したり受信したりします。こうすることで,効率よく,正確にディジタル信号を送ることができます。

タイミング情報で正確にビットを判断

 ディジタル通信では,信号を送る側は,1ビットずつ順番に一定のタイミングで送り出します。対して受信側では,信号を送ったタイミングと同じタイミングで1ビットずつ順番に“1”か“0”かを判定します。このタイミングが少しでもずれていると,“1”か“0”かの判定に誤りが生じてしまい,正しく信号を受け取れません(pict.1[拡大表示])。

 受信信号の変化と,受信側がビットを判定するタイミングがぴったり合って,送ったパルスの“1”または“0”を,受け取った側が間違いなく認識できている状態を「同期がとれている」と言います。同期は,送信側と受信側で正確に情報をやり取りするための大切な方法なのです。

 いくつかのディジタル信号を一つの回線で送信する「多重伝送」の時は,それぞれの信号の間での同期が必要です。例えば,三つのディジタル信号を多重化する場合,三つの信号すべての同期がとれていれば,それぞれの信号からパルスを1ビットずつ順番に並べて多重化できます。しかし,三つの信号の同期がとれていないと,パルスを順番通りに並べることができないので,多重化できません。