ディジタル通信では,情報を“1”または“0”の符号にして伝送します。“1”と“0”の情報は,電気信号のパルスの形で送られます。またこのとき,“1”または“0”を表す単位を「ビット」と言います。通信回線の性能は,1秒間に送れるビット数で決まります。

伝送速度は情報の種類ごとに違う

 情報通信では,音声やデータ,画像など様々な情報の種類の伝送が求められます。各種メディアで必要な伝送速度は,情報の種類によって異なります(pict.2[拡大表示])。

 電話のネットワークでは,音声は64kbpsで伝送されます。ところが携帯電話では,64kbpsの信号を圧縮して5.6kbpsにしているので,伝送速度が低い分だけどうしても音質が悪くなります。ISDNの基本伝送速度は64kbpsです。これは,最も基本的な電話音声の伝送速度に合わせたものです。

 テレビ映像は音声よりもはるかに高い伝送速度が必要です。例えばテレビ放送用の信号は,200Mbps程度の伝送速度が必要です。しかし,このままでは伝送速度が高すぎるので,ディジタル放送ではこれを圧縮して約6Mbpsで送るようにします。動きの少ない小型画面のテレビ電話では64kbps程度でも使えます。一般に,伝送速度を下げると,画面が粗くなったり動きがぎごちなくなったりして,画質が低下します。

 メッセージなどを送るデータ伝送やファクシミリでは,伝送速度の高い回線を使えば1ページ分を短時間で送れます。伝送速度とは,信号が伝わる速度ではなく,1ページ分の情報をどのくらいの時間で送れるかという速さのことです。