ディジタル通信では,情報を“1”または“0”の符号にして伝送します。“1”と“0”の情報は,電気信号のパルスの形で送られます。またこのとき,“1”または“0”を表す単位を「ビット」と言います。通信回線の性能は,1秒間に送れるビット数で決まります。

伝送速度の単位が「bps」

 「このパソコンは33.6kbpsのモデムを使っているので,インターネットにつなぐとかなり速いよ」,「でも,ISDNは64kbpsだからもっと高速だ」--などという会話をよく耳にします。ここで使われている「ビット・パー・セカンド」(bps,b/s,ビット/秒などと書く)とは,ディジタル信号の伝送速度(ビット・レート)を表す単位です。つまり,1秒間に何ビットのディジタル信号を送れるか,ということです。例えば,1秒間に8ビットの信号を送れば,伝送速度は毎秒8ビット,すなわち8bpsです。

 伝送速度は通常,非常に大きな数になります。そこで,分かりやすいように,1秒間に1000ビット送る場合を1k(キロ)bps,100万ビット送る場合を1M(メガ)bps,10億ビット送る場合を1G(ギガ)bps,というように表すのが普通です。

 ディジタル信号はパルスの形で伝送されます。パルスが二つの値をとるようにすると,一つのパルスが1ビットに対応するので,伝送速度は1秒間に伝送するパルスの数と同じになります(pict.1[拡大表示]の上)。ところが,パルスが四つの値をとるようにすれば,一つのパルスで2ビットを表せるので,伝送速度は1秒間に送るパルス数の2倍になります。1秒間に送るパルスの数を変調速度といい,単位は「ボー」(Baud)と言います。例えば,変調速度が8ボーで,一つのパルスで2ビットを表した場合,伝送速度は16bpsになります(pict.1[拡大表示]の下)。

 伝送速度は通信回線の伝送能力を表すのに使われ,高速伝送路とは伝送速度が高い伝送路のことです。