データベース管理ソフトを変更

 変更は,それだけではなかった。当初,データベース管理ソフトにはOracleを想定していた。しかし,「バックアップをとったり,データを分析したりしやすい」(フューチャービーツの元杭氏)ということで,ボーランドのInterBaseに変更することにした。

 InterBaseは,Oracle同様,リレーショナル・データベースである。しかし,データベースに関するデータを1つのファイルにして保存しているため,バックアップやデータの取得がしやすい。また,サイトのユーザー・データや購入傾向などを活用しやすいということもInterBase選択の一因である。ユーザー・データなどを分析してマーケティングに活用したいと思っても,Oracleではエクスポートの操作などが難しい。InterBaseならば,ローカルにファイルをコピーすれば,ODBC(オープン・データベース接続)を使って容易にデータを参照できる。

コンテンツ変換ツールを導入

 anycodeは,iモードとJ-スカイ,EZwebの異なる方式の携帯電話に対応するため,バーテックス・リンクの「CAFEMOON C3GATE Server」を導入した。iモード用コンテンツであるコンパクトHTMLを,J-スカイのMML(モバイル・マークアップ言語)とEZweb HDML(携帯端末向けマークアップ言語)に変換するツールである。anycodeは,もともとiモード向けのサービスとして開発を進めていた。このため,それをもとにほかの携帯電話向けにコンテンツを変換するツールが不可欠であった。画像ファイルのフォーマットも各キャリアによって異なるが,それも自動的に変換してくれる。

 フューチャービーツは,導入に際していくつかのサービスやソフトウエアを比較検討した。C3GATE Serverを選択したのは,iモードのコンテンツをもとに変換してくれるほか,開発しているシステムに変更を加えなくてよいという特徴があったからだ。「コンテンツ変換のために,新たにタグを埋め込むといったことは避けたかった」(フューチャービーツの元杭氏)。

図3●C3GATE ServerでHiddenタグを短い文字列に置き換える
携帯電話のWebコンテンツは容量に限りがあるため,長くなりがちなHiddenタグを短い文字列に置き換える機能を組み込んだ。

Hiddenタグを動的に変換

 C3GATE Serverは,Webサイトにリバース・プロキシとして設置する。システム側の変更や,こまごまとした設定作業をすることなく,コンテンツを変換してくれる。

 しかし,実際のanycodeシステムに導入する際に,いくつかの機能についてC3GATE Serverをチューニングした。たとえば,Hiddenタグの長さについての機能。携帯電話向けのWebアプリケーションでは,セッションを管理するのためのクッキーが使えない。そのため,Hiddenタグにセッション情報を埋め込むといった手法をとるのが一般的である。anycodeシステムもHiddenタグを利用していたが,ページを遷移するうちに,Hiddenタグに格納する情報が増え,膨大な文字数になる。携帯電話向けのコンテンツ容量は限られており,Hiddenタグがその容量の多くを使うと,コンテンツそのものの情報量が少なくなってしまう。そこで,長いHiddenタグを短い文字列に置き換えて配信する機能を,C3GATE Serverに組み込んだ(図3[拡大表示])。

アクセスの集中に耐えられるか

 anycodeのように販売する商品をメディアに掲載する形態では,雑誌発行時などにアクセスが集中する可能性がある。そこで,ツールを使って疑似的に大規模アクセスを発生させ,システムの性能を確認した。使用した負荷テスト・ツールは,米マイクロソフトの「Microsoft Web Application Stress Tool 1.1」と,Jakartaプロジェクトの「Apache JMeter」である。どちらも無料で利用できるソフトウエアである。

 負荷テストは,anycodeのWebアプリケーション単体に負荷をかけるケースと,C3GATE Serverを含めたシステム全体に負荷をかけるケースの2つのパターンで実施した。テスト結果は,たとえば後者のパターンで,10分間に2万アクセスの負荷を1時間かけたところ,Webアプリケーションのページ遷移は,平均1.2秒だった。当面必要な性能は確保できたとしている。