売り上げを増やしたり,知名度を高めたりするために,サイトへのアクセスを増やしたい――。このための手段の1つとして,「SEO」(検索エンジン最適化)が注目されつつある。検索サイトでの結果表示の上位に自社サイトを表示できるようにする取り組みだ。2002年に入ってから,このSEOに取り組む企業が増加。これを支援するサービスも充実してきている。
(山崎 洋一=yyamazak@nikkeibp.co.jp)

 検索サイトの上位に自社サイトが表示されるように,サイト構成やページを修正する「SEO」(検索エンジン最適化)を実践する企業が増えている。

 ソニーは2002年5月,企業向けのインターネット接続サービスの情報提供サイト「bit-drive」のリニューアルに伴って,SEOを試みた。結果として,グーグルからbit-driveにアクセスしてくる件数が6倍になった。

 コダックは,ディジタル・カメラの画像をプリントするオンライン・サービスなどの認知度アップを狙って,SEOに取り組んでいる。第1段階として,2002年8月に一部のWebページを改良。翌9月には,ページのヒット数が約3割増えた。

検索されやすい単語を使う

図1●SEOの概略
検索エンジンのロボットが巡回してきたとき,ページを読みやすいように,またページの内容を正確に伝えられるようWebページを“最適化”する。例えば検索されやすい単語を含めると検索結果の上位に自社サイトのURLが表示されやすい。

 インターネット上の検索サイトを利用すると,検索結果は何百件にも上ることが多い。そのうえ,多くのユーザーは最初に表示される情報を参照しがち。Webサイトへのアクセス数を増やすには,検索結果の上位に自社サイトが表示されることが重要になる。そこで必要になるのが,検索サイトでの検索結果の上位に自社サイトのURLを表示させるための取り組み,つまりSEO。ポイントは,エンドユーザーに検索されやすい単語をWebページ内で使うことや,Webページ間のリンクを整備することなどである(図1[拡大表示] )。

 ユーザーの多くが取り組んでいるのが,Webページに含まれる単語の変更。bit-driveサイトでは,ページ中のTITLEタグや本文に,「光ファイバ」「固定IP」などbit-driveで提供するサービスに関連する単語を埋め込んだ。これが,グーグル上でユーザーが指定する検索語にマッチし,効果を表した。

 コダックの場合は,Webページ中のIMGタグやTITLEタグ,METAタグなどを修正した。例えばIMGタグ中で画像ファイルの内容を表すAlt属性に,コダックの社名を設定したものがあった。これを画像の内容を示す記述に変更した。

 HTMLメールの配信サービスを提供するルート・コミュニケーションズは,2002年5月に開設したHTMLメール配信についての情報サイトのSEOを実施した。このサイトの目的は,「一般ユーザーにHTMLメールの魅力をアピールすること」(代表取締役の塚田 耕司氏)。「HTMLメール」という語句をMETAタグやページの文章内に入れるなどの作業を実施したところ,2カ月後には,グーグルの検索結果の1ページ目にURLが載るようになった。

ページ間のリンクなども影響する

 SEOの対象は単語だけではない。例えばページのリンクを整備する作業もSEOの1つである。Webサイト内の各ページがうまくリンクされていないと,検索ロボットがページをたどれず,詳細な情報を含んだWebページのインデックスが作成されなくなる。bit-driveでも,サイトのツリー構造の上位のほうに重要な情報を記載したページを持ってくるなど,設計を見直した。

 ASP(アクティブ・サーバー・ページ)のような動的ページも検索ロボットが巡回できない場合が多い。こうした場合は,あらかじめ静的なWebページを生成しておく。検索サイトによっては,ヤフーなどユーザーからのアクセスが多いサイトからどれだけリンクされているかを考慮して表示順序を決める。このため,ほかのサイトにリンクしてもらうことも必要である。

コンサルティング・サービスが充実

表1●主な国内のSEOサービス

 ただ,実際のSEOは,そう簡単ではない。例えばページに含まれる単語をどう変えれば効果があるかは,一般のユーザーにはなかなかわかりにくい。

 そこで充実してきたのが,SEOのノウハウを提供してくれるコンサルティング・サービス。事業者によっては,SEOの一環としてWebページ制作まで手がける(表1[拡大表示])。実際,SEOを実践するユーザーは,こうしたコンサルティングを受ける場合が多い。ソニーはイー・プロモートの,コダックはエイ・アンド・ジーのサービスを利用した。どちらの場合も,事業者がWebページの内容を評価したうえで,効果がありそうなキーワードを洗い出し,Webページに反映させた。

 サービスの充実も手伝って,ユーザーによるSEOの取り組みは着実に効果を表しつつある。今後,ニーズはさらに増していきそうである。