本誌では2001年11月にユーザー調査を実施し,1053社からの回答を得た。その結果,2001年はインターネット接続の手段に企業向けのxDSLを導入した企業が昨年に比べ急増し,1割を超えたことがわかった。また,猛威を振るったウイルスがいくつも登場し,ニムダのように半数近くが感染したものもあると判明した。こうしたウイルスに対処するため,アンチウイルス・ソフトを全社員に導入する企業が増えている。

(山崎 洋一=yyamazak@nikkeibp.co.jp)

図1●インターネット接続方法の比較
xDSLが25倍以上の伸びを示している点がきわ立っている。2001年から広域イーサネットとFTTHを選択肢に加え,それぞれ1.1%と0.9%だった。

 「10社に1社はxDSL(ディジタル加入者線)を使ってインターネットに接続している」,「猛威を振るったウイルスのなかでもニムダには半数近くが感染した」――。本誌が2001年11月に実施したユーザー調査(右下の調査概要参照)の結果からこんなことがわかった。

xDSLの導入は1年で1割に

 インターネット接続方法では,xDSLを導入している企業が2000年11月に調査したときの0.4%から一気に10.4%に伸び,xDSLの導入が急速に進んでいる(図1[拡大表示])。

 この要因として,2001年に固定のIPアドレスを付与する企業向けのADSL(非対称ディジタル加入者線)サービスが数多く登場したことが考えられる。2000年の調査時点では数が少なく,選択の余地がない状況だったが,現在は20社以上がサービスを提供している。xDSLの導入を検討している企業が9.5%あるという結果も出ており,xDSLの導入企業は2002年も2001年と同じ勢いで増えていきそうだ。

図2●インターネット接続速度(各企業の合計)の比較
xDSL接続の増加を受けてか,1.5Mビット/秒以下の接続速度が増えている。

 xDSLを導入した割合が伸びたことを反映してか,インターネット接続が高速化している(図2[拡大表示])。「1Mビット/秒以下」よりも上の回答は,軒並み昨年を上回った。なかでも企業向けのADSLサービスの速度と同じ1.5Mビット/秒以下は10ポイント増えている。2001年秋以降,8Mビット/秒の企業向けADSLサービスも始まっており,2002年はさらに高速化しそうである。

 昨年までいちばん多かった128kビット/秒の接続速度は,およそ9ポイント減少した。しかし,フレッツ・ISDNの導入割合はむしろ4.7ポイント増えている。ADSLの通信品質にまだ不安があるなどの理由が考えられる。

半数近くがニムダに感染

 2001年はコード・レッドやニムダ,サーカムなど,新種のウイルスがいくつも猛威を振るった(図3[拡大表示])。

図3●2001年に感染したウイルス
ニムダの感染率が目立つ。

 最も感染した割合が多かったのは,9月に広がったニムダである。46.5%と,実に半数近い企業が感染している。Internet Explorerにパッチ・ファイルを適用していなければ,「メールを見る」,「Webを見る」という通常業務でする操作であっても感染してしまう恐れがある。全クライアントへのパッチの適用を徹底するなど,中途半端な予防策が通用しないのが特徴である。

 次に多かったのがサーカム。ニムダほどではないとはいえ,29%の企業に感染経験がある。デスクトップなどにあるファイルにウイルス自身を埋め込み,同じファイル名を使って添付メールで送る。ユーザーがだまされやすいのが特徴である。

 まん延するウイルスに対処すべく,アンチウイルス・ソフトを全社員に導入する企業が増えている(図4[拡大表示])。2000年から7.2ポイント増えたが,全社員に導入していない企業がまだ2割以上ある。また,アンチウイルス・ソフトのパターン・ファイルを全ユーザー分自動更新している企業は57.5%。あとは各自更新するなど,必ずしも最新のパターン・ファイルを使っていないようである。ウイルス対策はやや遅れているようだ。

図4●アンチウイルス・ソフトの導入状況の比較
全社員に導入している割合が増えているものの,2割以上の企業は未導入のマシンがある。

 ここで触れたインターネット接続方法や接続速度,ウイルスや不正アクセスへの対処などを含む調査結果を,次号で詳しく報告する。