IPv6の接続環境が整ってきた。IPv4とIPv6を同じネットワーク上に同居させるデュアル・スタックも,ISPによる商用サービスが始まり,IPv6への移行の準備が進んでいる。ルーターなどのネットワーク機器のほか,Windows
XPなどOSにも実装され,ユーザーにも身近になっている。実際には,ファイアウォールやアプリケーションの対応など,まだIPv6化が進んでいない部分も残る。このため,IPv4と同レベルに達するまでにはまだ時間がかかるが,環境整備は着実に進んでいる。
次世代プロトコル「IPv6」によるインターネット接続環境がいよいよ整ってきた。2000年~2001年にかけてISP各社が実験サービスを始めたのに加え,IPv4とIPv6を混在させて接続できる商用サービスが始まったからだ。
インターネットイニシアティブ(IIJ)は,2001年11月,「IPv6/IPv4デュアルスタックサービス」を開始した。電力会社系通信事業者のパワードコムも,11月から「Powered-IPv6トンネリングサービス」とデュアル・スタック型の「Powered-IPv6ハイブリッドサービス」を始めた。デュアル・スタック型なら,ユーザーは,IPv6向けの特別な接続環境を用意しなくても,既存のIPv4環境からIPv6環境へ徐々に移行していける。
IPv6はすでに,LANスイッチ,ルーターといった機器での対応が進んでいるし,Solaris8などIPv6対応のOSも入手可能である(図1[拡大表示])。11月16日に発売されたWindows XPにもIPv6が標準搭載され,一般のユーザーにも身近になった。実際には,市販のアプリケーション・ソフトやファイアウォールなどの対応を待たなければ実用的なIPv6ネットワークは構築できない。このため,IPv4と同程度の利用環境にはまだ程遠いが,こと接続性という点では,環境は整ったといえよう。
接続サービスは続々
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表1●国内の主なIPv6対応サービス |
IPv6は,今のインターネット上で使われているIP(IPv4)の次期版。最大の特徴はIPアドレス空間が,IPv4の32ビットから128ビットに拡張されている点だ。このため,無数のマシンにIPアドレスを割り当てても枯渇する恐れはない。実際,IIJやパワードコムのIPv6接続サービスでは,1社に対して2の80乗(約10の24乗)個のアドレスを割り振っている。すべてのマシンにグローバル・アドレスを割り当てられるため,例えばインターネット上から社内などにある個々のマシンにアクセスすることも容易になる。
ほかにも,プロトコル自身がIPv6アドレスを自動的に設定してくれるプラグ・アンド・プレイ機能,移動先でもIPアドレスの設定変更なしでインターネットに接続できるモバイルIP,トラフィックの優先制御などの機能が盛り込まれている。
このIPv6をインターネット上で利用できるようにするのがIPv6接続サービスである。IIJ,KDDI,NTTコミュニケーションズ,日本テレコムなど大手ISPがIPv6ネットワークを構築し,試験サービス,あるいは商用サービスとしてIPv6接続環境を提供している(表1[拡大表示])。
ISP以外のサービス・プロバイダによるIPv6対応も始まっている。たとえばインターネット・データセンター(IDC)。アバヴネット・ジャパンは2001年4月から,同社IDCの顧客向けにIPv6接続環境を無償で提供している。同様に,メディアエクスチェンジは,2001年10月にIPv6試験サービスを開始した。
IX(インターネット相互接続点)事業者の日本インターネットエクスチェンジ(JPIX)は,2002年1月からIPv6用のピアリング環境を提供する試験サービスを始める。WIDEプロジェクトが運用するNSPIXP-2も,分散IX化と同時進行でIPv6対応を進めている。