インターネットを介して名前や電子メール・アドレス,住所,電話番号などの個人情報を交換できる電子名刺サービスが増えている。ネット上のサーバーに自分の個人情報を登録し,その情報を相手に公開するというものだ。エンドユーザー間だけでなく,企業が顧客情報を管理するための名簿データベースや,顧客や取引先とのコミュニケーションのためのツールとしても利用できる。
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電子名刺サービスとは,ユーザーがネット上のサーバーに個人情報を登録し,その情報を相手に公開するというもの。情報に変更があったときは利用者自身が最新データに書き換えるので,連絡先が分からなくなることがない。エンドユーザー間だけでなく,企業が顧客や取引先とのコミュニケーションのために利用することもできる。
サービスは利用方法で大きく2通りある。Webブラウザだけで利用できるタイプと,専用ソフトとブラウザを組み合わせて利用するタイプである。
顧客の名簿DBに使える
ソシオウェア,イーターンドットコム,エグゼコミュニケーションズのサービスはWebブラウザだけで利用できる。利用者は連絡先などをブラウザで登録し,メール・アドレスや登録時に配布されたIDをお互いに知らせあうことで個人情報を交換する(図1a[拡大表示])。
個人情報はサービス提供会社の名刺サーバーで管理する。利用者はブラウザでそのデータベースにアクセスし,相手の個人情報を読み出す。データベース上の個人情報を変更した場合は,相手にその旨を自動通知することができる。「仕事」や「友達」向けに名刺を分けることもできる。
ソシオウェアやエグゼコミュニケーションズは,企業が顧客管理の名簿データベースとして使うASPサービスも提供する。例えば,エグゼコミュニケーションズが2001年6日に開始する予定のサービスでは,企業の顧客に同社のサービス「Surame」のユーザーになってもらい,企業側には顧客情報を管理・分析する機能を提供する。性別や年齢別などの条件で顧客を抽出してメッセージを一斉送信する機能や,顧客向けにアンケート・ページを設けてその統計データを解析する機能などを用意する。料金は初期費用,管理費用,IDごとの発行料の合計で,ID発行料は1IDにつき30~50円の予定。
コミュニティ・ツールに特化
ソニーのPoP-Syncは,個人情報の登録・修正はWebブラウザで実行するが,ユーザーの情報を参照するときは専用ソフト「A-caDe Folder」(無料ダウンロード可能)を使う。
写真2●PoP-Syncの専用ソフト「A-caDe Folder」 PoP-Syncサーバーに登録されているユーザー情報などに変更があると,自動的にハード・ディスク内のデータを更新する。 |
サービスを使うにはブラウザを使って画像データと個人情報をPoP-Syncのサーバーに登録する。サーバーは受け取った画像に個人情報を埋め込み利用者に戻す。利用者はこれを電子メールなどで交換する(図1b[拡大表示])。A-caDe Folderはサーバー側のデータに変更があったかどうかを定期的に確認し,もし変更があった場合はハード・ディスク内のデータを自動更新する。PoP-Syncのサービスを利用できるのは,今のところWindowsユーザーだけだが,将来的にはPDAやiモードなどの携帯電話でも利用可能にする予定。
ソニーも企業向けサービスを提供する。ただし,クライアントに個人情報を置くことから,用途は企業間あるいは企業と顧客の情報交換,ポータル・サイトでの利用を想定している。サービスの基本料金は月額30万円。これにカスタマイズ料とPoP-Sync Cardの発行料を加えた額が利用料金となる。