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インターネットを介したデータ同期技術ネット経由でPC/PDAのデータを同期 電子メールや予定表の管理に効果
出典:2000年12月号
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(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
(中島 募=nakashim@nikkeibp.co.jp)
こうしたニーズにこたえてくれる新技術が登場した。インターネットを介して電子メールや個人情報管理(PIM)ソフトなどの差分データを送り合い,各機器のデータを同じ状態に保つ技術である(表1)。インターネットを経由するので,離れた場所にある機器でも利用することができる。 米フュージョンワンのSync技術は,すでに国内でも利用できる。日本法人のフュージョンワン(本社・東京)が2000年9月1日から同社のWebサイトで「インターネット“Sync”サービス」としてサービスを開始した。米プーマテック(旧プーマテクノロジー)の日本法人,プーマテック ジャパン(本社・東京)は2000年12月に,同期技術「Sync-it」の開発キットをポータル・サイトの運営会社やISP(インターネット・サービス・プロバイダ)向けに提供する。2001年初頭には,Sync-itを利用した同期サービスを始める企業が出てくる見込みだ。
HTTPベースでデータを同期
フュージョンワンのSync技術,Sync-itともに基本的な仕組みは同じである。パソコンまたは携帯情報機器にインストールしたエージェント・ソフトが,サーバーを中継して差分データを転送し合う(図1[拡大表示])。こうした処理をデータ同期と呼ぶ。中央のサーバーは,同期するデータを一時的に保存するために使う。 たとえばフュージョンワンの場合,ユーザーがエージェント・ソフトを起動して同期ボタンを押すと,エージェント・ソフトがマシン内のデータと同期サーバーのデータを比較し,更新されている部分だけをアップロード,もしくはダウンロードする。ボタンを押す手動の方法だけでなく,OSを起動するときやシャットダウンするときに自動的にデータを同期するように設定することも可能。Sync-itも同様の機能を用意している。 エージェント・ソフトは,サーバーにデータをアップロードする際に,HTTPパケットのデータ部分にデータを埋め込んで送信する。サーバーからデータをダウンロードするときもHTTPで通信する。このように,Webアクセスのためのプロトコルをベースにしているので,Webの閲覧しか許可していない企業などでも,ファイアウォールの内側から同期サーバーにアクセスできる。プロキシを経由する環境でも問題はない。 フュージョンワンのSync技術,Sync-itとも,データをHTTPのデータ領域に埋め込む際に暗号化する。やりとりするデータの中にはメールやアドレス帳などが含まれているからだ。フュージョンワンでは「128ビットのカギを使って暗号化するので,第三者に情報が漏えいすることはまずない」(米フュージョンワン VPエンジニアリング&CTOのデビット・マルター氏)という。
異なるアプリケーションでも利用可データを同期させることができるのは,基本的には同じアプリケーション同士である。ただし,一部のアプリケーションについては,異なるアプリケーションとの間でデータの同期がとれるようにしている。たとえば,メールやPIM機能をもつグループウエアなどのWebアプリケーションと,米マイクロソフトのOutlookとの間でメールやアドレス帳,予定表,メモなどのデータを共有させることが可能である。 異なるアプリケーション間では,同期サーバーまたはエージェント・ソフトがデータを同期するとき,受信側のマシンのアプリケーションに応じてデータ形式を変換する(図2[拡大表示])。フュージョンワンのSync技術,Sync-itともに,データ変換などを含めて,既存のアプリケーションに対応させるためのAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を用意している。 同期できるファイル形式は多様フュージョンワンのSync技術とSync-itは,データ同期の仕組みこそ同じだが,ユーザーへの提供形態や,標準対応しているアプリケーションに違いがある。 フュージョンワンのSync技術は前述したように,インターネット“Sync”サービスとして一般ユーザーに直接提供するサービスである。標準で同期できるデータは,Outlookのメールや予定表,アドレス帳,Webブラウザのブックマークなどである。 フュージョンワンのサービスを利用するには,通信の設定や同期対象とするデータの設定などをエージェント・ソフト側で実行する。同期させたいマシンを追加するときや,サーバー側に蓄積しているデータを削除するときは同期サーバーにWebブラウザでアクセスして実行する(写真1)。フュージョンワンのエージェント・ソフトは今のところWindows版だけしか用意されてない。2001年春には米パーム・コンピューティングのPalmOS版を,2001年第3四半期にはMacOS版をリリースする予定だ。
フュージョンワンのSync技術の特徴は,メールやPIMデータだけでなく,画像やワープロの文書など,ファイル形式を問わずにサーバーにデータをアップロードできること。同社はこの特徴を生かし,インターネット“Sync”サービスのなかでインターネット上のハード・ディスクを自分のディスクのように利用できる「オンライン・ストレージ機能」を提供している。現在,1ユーザーあたり最大25Mバイトまで利用できる。サービスは今のところ無料だが,2001年1月からは容量に応じた有料サービスに移行する予定である(表2)。 フュージョンワンは,Webブラウザで同期サーバーのデータを閲覧するための機能「eDock」も用意する(写真2)。これにより,たとえば出先のパソコンなどからもメールや予定表などを確認できる。なおこの機能はiモード対応の携帯電話からも利用できるほか,WAP(無線アプリケーション・プロトコル)端末への対応も予定している。
ハード・ディスクをバックアップ2000年5月に日本に先行してインターネット“Sync”サービスが始まった米国では「すでに20万人以上のユーザーを獲得している」(米フュージョンワンのデビット・マルター氏)という。米国では今後,さまざまな形態でのサービス提供を計画している。 たとえばパソコン・メーカーと提携し,データのバックアップ・サービスを年内にも開始する予定という。パソコンを買い換えてくれた顧客を対象としたサービスである。具体的には,古いパソコンのデータをサーバーにアップロードしてもらい,それをボタン1つで新しいパソコンにダウンロードできるようにするもの。必要なデータを簡単に引き継ぐことができるので,新しいパソコンを簡単に以前と同じ環境にできる。 このサービスは国内でも「どこかのメーカーと提携して提供することを考えている」(フュージョンワンの小野寺 康一代表取締役社長)という。
データ変換の機能に強み一方,プーマテックのSync-itは,アプリケーションの種類に応じてデータ形式を変換する機能が強みである。標準で多くのアプリケーションに対応している。OutlookとOutlook Expressでメールやアドレス帳のデータを共有できるほか,Outlookと米ロータス・デベロップメントのPIMソフト「オーガナイザー2000」との間でもアドレス帳,予定表,メモなどのデータを共有できる。 Sync-itのエージェント・ソフトはフュージョンワンと同様に,当面はWindows版だけ。ただし同社はPalmOS,Windows CE,ザウルスなどさまざまなPDAのPIMデータとパソコン・データとを同期させるソフト「Intellisync」の技術をもつ。「この技術を生かして(フュージョンワンよりも)早い時期に各プラットフォームのエージェント・ソフトをリリースする予定」(米プーマテック 販売担当上級副社長のスティーブ・ニコル氏)だという(写真3)。 サービス提供会社が利用するSync-itは,前述したように自社で一般ユーザー向けにサービスを提供するのではなく,ポータル・サイトやISPにサービスや技術を提供する。「米プーマテックはショールーム的な意味合いで,Webサイト(http://www.intellisync.com/)でSync-itの同期サービスを提供する予定だが,プーマテック ジャパンが国内のエンドユーザーに直接サービスを提供することはない」(プーマテック ジャパン マーケティング担当の鈴木 尚志副社長)。 国内のユーザーは,ISPなどのサービス事業者がSync-itを利用して開発した同期システムを利用することになる。Sync-itで開発したシステムは,ユーザーのパソコンまたはPDAのデータを同期する機能のほか,ISPなどが提供するメール/PIM用のWebアプリケーションとの同期も可能にする。 国内では,プーマテック ジャパンがSync-itの開発キットをISPなどに向けて販売するほか,ソフトバンク・テクノロジーやNTTデータ,伊藤忠テクノサイエンスなどが,サービス提供会社向けにSync-itを用いた同期システムの構築やASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)のサービスを予定している。 連載新着記事一覧へ >>
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