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ITレポート(動向/解説)

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突如浮上したドメイン管理の新会社設立案

不可解な動きにISPなどが反発 汎用JPドメインの運用開始にも暗雲

2000/12/05

日本語ドメイン名も利用可能な汎用JPドメインが微妙な局面を迎えている。ことの発端は,JPドメイン管理のための新会社を設立しようというJPNICの突然ともいえる提案。JPNICは「管理体制を考えると新会社なしには汎用JPドメインの運用は考えられない」という。ISPなどは「事業の独占は認められない」と反発。その結果,汎用JPドメインのサービス開始時期は先送り。すべてはご破算という可能性も見え隠れする。

(中島 募=nakashim@nikkeibp.co.jp,河井 保博=kawai@nikkeibp.co.jp)

 日本語ドメイン名も使えるようになる汎用JPドメイン名サービスに暗雲が立ち込めている。開始予定の汎用JPドメインを含め,今後のドメイン名管理組織のあり方をめぐり,JPドメイン名を管理するJPNIC(日本ネットワークインフォメーションセンター)と,ユーザーやJPNIC会員であるISP(インターネット・サービス・プロバイダ)の間で摩擦が生じている。

 JPNICは2000年10月27日に開催したJPNIC会員向け説明会で,新会社を設立し,そこにJPドメイン名の登録・管理業務を移管する計画を明らかにした。新会社設立のアイデアが持ち上がった要因は汎用JPドメイン。汎用JPドメインは,1組織でいくつでも利用できるうえ,日本語を利用できるなど自由度が高く,その活用が期待されている。

 村井 純・JPNIC理事長は,「JPNICは現状でも,ドメインの登録・管理業務で手いっぱい。汎用JPドメインの導入で登録数が大幅に増えると,社団法人の規制上,資金調達が難しく,十分なサービスを提供できない可能性がある」という。

 ところが,ISPなどのJPNIC会員はこの案に反発。11月2日に開催されたJPNIC総会では,反対意見が続出し承認を得られなかった。JPNICは,「現状のままでは汎用JPドメインの運用は困難。新会社なしに汎用JPドメインはありえない」とする。このため,新会社設立の審議を先送り。暫定措置として,サービス開始時期など当初のスケジュールを1カ月ずつ後ろにずらした。しかし,問題はまだ解決していない。汎用JPドメイン名サービスそのものが消滅しまう可能性さえ出てくる。

図1 汎用JPドメイン名サービスの提供のために新会社を設立
汎用JPドメインの登録手数料が大きな収入になるため,公益法人としての存続が難しいと判断。株式会社化することを決めた。新会社はgTLDの管理体制でいうコーディネータ,レジストリ,レジストラの3役を兼任する。日本ネットワークインフォメーションセンターは,株式会社として資金を蓄積できるため,汎用JPドメインの管理という負荷の高い業務を実現できるとしている。

不透明な議論にJPNIC会員が反発

 新会社を設立してJPドメインの管理を移管すること自体は大きな問題ではない。ただ,議論の進め方があまりに不透明であり,JPNICの提案では新会社が独占的に事業を手がけるように見えてしまうという不可解な面がある。

 新会社設立の議論は,JPNIC理事会で非公開で進められてきた。まず,この理由がわからない。汎用JPドメインに関してはWebサイト上で情報を公開しているにもかかわらず,新会社設立に関しては一切触れていない。JPNIC会員からの意見を募ったわけでもない。汎用JPドメイン運用に不可欠としているのに首をかしげたくなる動きである。

 新会社の位置付けも微妙だ。新会社が予定している業務は,レジストリとしてのドメイン名データベースの運用管理と,レジストラとしてのドメイン名の登録受け付けである(図1[拡大表示])。以前,米国で.comドメインなどの一般トップ・レベル・ドメインを独占的に管理していた米ネットワーク・ソリューションズ(NSI)と同じで,事業の独占を狙っているように見える。

 新会社がレジストリ業務に特化しドメイン名登録業務をレジストラに譲れば,運用体制ははるかに小規模になり,運営コストも少なくて済む。そうなれば,独占的な色合いは薄れる。料金面では,確かに新会社設立後の案を見れば,従来よりも安くなりそうである(表1)。しかし,新会社が民間企業として利益獲得に走らないとは限らない。利益を還元すれば,もっと料金を安くできるのではという疑念が付きまとう。こう見ると,レジストリ専業というほうが理にかなっている。

 JPNIC自身,新会社への移管に関する計画案の中で,「事業独占性の排除」としてレジストリ業務に特化するモデルをうたっている。にもかかわらず,実際にやろうとしていることは逆である。JPNICからは,「一部のレジストラは.comなどのドメイン名のレジストラでもある。JPドメインを積極的に普及させるとは限らない」という説得力のない返事しか返ってこない。

 JPNICは,JPNIC会員からの意見集約のため,猶予期間としてスケジュールを1カ月先送りした。好意的に見れば,少しでも早く汎用JPドメイン名サービスを提供したいということかもしれない。しかし,汎用JPドメインを“人質”にして,性急に事を運ぼうとしているように見えないでもない。少なくとも明朗な情報開示と意見集約のうえでの最終決定を期待したい。

現行の料金制度 移管後の料金制度
JPNIC会員 対象 JPNIC会員 IP登録業者 ドメイン名登録業者
IP業務委任会員 ドメイン名指定事業者
JPNIC 支払先 JPNIC 新会社
5000円/件 5000円/件(ユーザーが直接申請する場合は2万円/件) 手数料 4000円/件 3500円/件(ユーザーが直接申請する場合は1万4000円/件)
年間の
管理費
規模に応じて課金(20万〜600万円) 3500円/件(ユーザーが直接申請する場合は7000円/件)
5000円×ドメイン数+30万円 会費 100万〜1000万円
50万円 入会金 契約料 25万円 50万円
表1 新会社に業務移管をした後の料金制度の案
現行ではJPNIC会員のISPなどがIPアドレスとドメイン名登録の取り次ぎサービスを提供。移管後は,新会社や新会社が認定したレジストラが登録を受け付ける。

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