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突如浮上したドメイン管理の新会社設立案不可解な動きにISPなどが反発 汎用JPドメインの運用開始にも暗雲
(中島 募=nakashim@nikkeibp.co.jp,河井 保博=kawai@nikkeibp.co.jp)
JPNICは2000年10月27日に開催したJPNIC会員向け説明会で,新会社を設立し,そこにJPドメイン名の登録・管理業務を移管する計画を明らかにした。新会社設立のアイデアが持ち上がった要因は汎用JPドメイン。汎用JPドメインは,1組織でいくつでも利用できるうえ,日本語を利用できるなど自由度が高く,その活用が期待されている。 村井 純・JPNIC理事長は,「JPNICは現状でも,ドメインの登録・管理業務で手いっぱい。汎用JPドメインの導入で登録数が大幅に増えると,社団法人の規制上,資金調達が難しく,十分なサービスを提供できない可能性がある」という。 ところが,ISPなどのJPNIC会員はこの案に反発。11月2日に開催されたJPNIC総会では,反対意見が続出し承認を得られなかった。JPNICは,「現状のままでは汎用JPドメインの運用は困難。新会社なしに汎用JPドメインはありえない」とする。このため,新会社設立の審議を先送り。暫定措置として,サービス開始時期など当初のスケジュールを1カ月ずつ後ろにずらした。しかし,問題はまだ解決していない。汎用JPドメイン名サービスそのものが消滅しまう可能性さえ出てくる。 不透明な議論にJPNIC会員が反発新会社を設立してJPドメインの管理を移管すること自体は大きな問題ではない。ただ,議論の進め方があまりに不透明であり,JPNICの提案では新会社が独占的に事業を手がけるように見えてしまうという不可解な面がある。 新会社設立の議論は,JPNIC理事会で非公開で進められてきた。まず,この理由がわからない。汎用JPドメインに関してはWebサイト上で情報を公開しているにもかかわらず,新会社設立に関しては一切触れていない。JPNIC会員からの意見を募ったわけでもない。汎用JPドメイン運用に不可欠としているのに首をかしげたくなる動きである。 新会社の位置付けも微妙だ。新会社が予定している業務は,レジストリとしてのドメイン名データベースの運用管理と,レジストラとしてのドメイン名の登録受け付けである(図1[拡大表示])。以前,米国で.comドメインなどの一般トップ・レベル・ドメインを独占的に管理していた米ネットワーク・ソリューションズ(NSI)と同じで,事業の独占を狙っているように見える。 新会社がレジストリ業務に特化しドメイン名登録業務をレジストラに譲れば,運用体制ははるかに小規模になり,運営コストも少なくて済む。そうなれば,独占的な色合いは薄れる。料金面では,確かに新会社設立後の案を見れば,従来よりも安くなりそうである(表1)。しかし,新会社が民間企業として利益獲得に走らないとは限らない。利益を還元すれば,もっと料金を安くできるのではという疑念が付きまとう。こう見ると,レジストリ専業というほうが理にかなっている。 JPNIC自身,新会社への移管に関する計画案の中で,「事業独占性の排除」としてレジストリ業務に特化するモデルをうたっている。にもかかわらず,実際にやろうとしていることは逆である。JPNICからは,「一部のレジストラは.comなどのドメイン名のレジストラでもある。JPドメインを積極的に普及させるとは限らない」という説得力のない返事しか返ってこない。 JPNICは,JPNIC会員からの意見集約のため,猶予期間としてスケジュールを1カ月先送りした。好意的に見れば,少しでも早く汎用JPドメイン名サービスを提供したいということかもしれない。しかし,汎用JPドメインを“人質”にして,性急に事を運ぼうとしているように見えないでもない。少なくとも明朗な情報開示と意見集約のうえでの最終決定を期待したい。
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