日記に似たウェブサイトであるブログをビジネスに役立つように活用する取り組みのこと。自社の製品をブログのテーマにして、販売促進に活用するケースが多い。

 ライブドアによるニッポン放送株取得の騒動では、マスメディアにとって、堀江貴文社長のブログ「社長日記」が重要な情報源の1つになっていました。堀江社長のスケジュールや、そのときどきの思いや考えをつづっていたからです。堀江社長にとってみれば、マスメディアに比べて、自分で発信したい情報をすべて伝えられるという点がブログのメリットでしょう。ライブドアでは、堀江社長だけでなく、ほかの経営陣もブログを開設し、情報を発信しています。

 同社に限らず、最近は業務上の情報発信のためにブログを活用する企業が増えつつあります。こうした取り組みは「ビジネス・ブログ」と呼ばれています。

◆効果
口コミを加速

 ブログの特徴は、複数のブログサイトの間で、引用しあえる点です。どのサイトが、どの日付のブログで引用したかが互いに分かります。こうした仕組みは「トラックバック」と呼ばれています。

 特定の製品をテーマにしたブログにおいて、トラックバックで引用されたブログサイトを見れば、その製品がどのように評価されているかが分かります。多数の一般消費者がトラックバックで引用してくれれば、口コミと似たような効果が得られるのです。メーカーの押しつけではない、消費者の「生の声」が閲覧できるわけです。

 ただし、引用先で必ずしも良い評価が得られるとは限りません。誹謗(ひぼう)中傷を受けることも少なからず、あるでしょう。販促でブログを使うことは、両刃の剣であることを理解しておいたほうがよいでしょう。

◆事例
新型車のブログを開設

 日産自動車は、昨年発売した新型車「ティーダ」に特化したブログサイト「TIIDA BLOG」を開設しています。ティーダでドライブにいった話や一般消費者の声、開発者のインタビューなどが、日記風に毎日のように掲載されています。

 このブログのトラックバックを見ると、自動車が趣味の人が多くなっています。すなわち、自動車を趣味とする人のコミュニティーを形作っているのです。

 車の場合、購入の決断を後押しする大きな要因は、所有者の評価です。ティーダのような新型車の場合、所有者がそれほど多くないので、ブログを中核としたコミュニティー内の評価を参考にしようという人も多いはずです。

 口コミのマネジメントは、マーケティングにおいて重要なテーマの1つです。ブログを販促に使う企業は、今後、急速に増えてくることが予想されます。

(吉川 和宏)