インターネットなどで動画や音声データを効率的に配信するための技術。データをダウンロードしながら再生するため、利用者の待ち時間を大幅に短縮できる。

 インターネットを通して、映画の予告編を見たり、音楽CDを購入する前に試聴している方も多いことでしょう。近い将来には、映画の本編を配信するようなサービスが浸透するかもしれません。こうしたサービスを支える技術が「ストリーミング」です。

 ストリーミングは、動画や音声といったコンテンツ(情報の内容)を効率よく配信・再生するための技術です。利用者がファイルをダウンロードし終えてから再生するのではなく、受信した部分から順に再生する仕組みになっています。

 ADSL(非対称デジタル加入者線)をはじめとするブロードバンド(高速大容量)通信環境が普及したことによって、広報活動にストリーミングを利用する企業も増えつつあります。

◆効果
利用者を待たせない

 ストリーミングが登場する以前は、動画や音声といったコンテンツは、すべてのデータをダウンロードしないと視聴できませんでした。つまり、映画なら1本分、音楽なら1曲分のデータをすべてダウンロードし終えるまで、利用者は待つ必要があったのです。再生時間の長いコンテンツは、ダウンロードするのに長時間かかります。

 実際、音楽を聴こうとホームページを訪れてみたものの、なかなかダウンロードが終わらないために途中であきらめてしまったという経験がある人も少なくないはずです。ストリーミングの存在なくして、映画の本編のように再生時間の長いコンテンツをインターネットで公開するといったことは実現できなかったのです。

◆事例
営業活動の社員教育に利用

 ストリーミングを利用するには、専用のプレーヤーソフトが必要になります。ただし、いくつかの有力ソフトが無償で提供されているほか、米マイクロソフトが「ウインドウズ・メディア・プレーヤー」をウインドウズに標準で添付しているため、インターネットの利用者であれば事実上、誰でもストリーミングを利用できます。

 このため、映画や音楽の配信サービスだけでなく、受講者向けに講義風景を動画で配信するような新サービスが相次いでいます。ホームページを通して決算説明会や株主総会の様子を動画で提供したり、社員向けの教育にストリーミングを利用する企業も登場し始めています。

 例えば、金属加工機械メーカーのアマダは、営業活動の成功事例を共有する目的でストリーミングを活用しています。成果を上げている支社の戦略立案会議や、客先での商談風景を撮影した動画を社内ポータルで公開しています。

相馬 隆宏 souma@nikkeibp.co.jp