無線技術を使った高速インターネット接続サービスの1つ。駅や空港ロビー、ホテル、店舗といった大勢の人が集まる場所に、無線LANやブルートゥースなどの無線装置を設置。パソコンや携帯情報端末(PDA)があれば、簡単にネット接続できる。接続速度は高速だが、電波が届く範囲は半径百メートル程度が限界だ。

 携帯電話のように屋外で、高速にインターネット接続できるブロードバンド(高速大容量)環境はこれまでありませんでした。2001年春、オフィスや家庭向けに急成長してきた無線LANやブルートゥースといった技術を応用した、新しいネットワーク接続サービスが誕生しました。

 「ホットスポット」と呼ばれるこのサービスは、広場やホテルのロビー、駅、空港、飲食店といった人々が集まる場所に、無線LAN装置などを設置して、ノート型パソコンやPDA(携帯情報端末)を持っている人なら、手軽にネット接続できるようにするものです。電波が届く範囲は数10~100メートル程度で、接続速度は最高で10メガビット/秒と非常に高速です。

◆事例
飲食店やホテルなどで実験開始

 ハンバーガーチェーン「モスバーガー」を展開するモスフードサービスは、店内に無線LAN装置を設置。店内で自由にインターネットを閲覧できる実験を2001年6月から東京都内の7~8店舗で続けています。

 自前のノート型パソコンと無線LANカードを用意できる利用者を募集。利用者にIDとパスワードを発行して、無料でネット接続できる環境を整えました。1回目の募集では定員1000人に対して、約6000人からの申し込みがあるほど注目を集めました。モスフードの狙いは明快です。これまで中核の顧客層だった若者や女性だけでなく、20~30歳代の男性顧客を開拓しようというのです。

 同様の取り組みは、中堅コンビニエンスストア「ミニストップ」も始めています。同年11月中旬から、東京都内にある4店舗に無線LANを設置。集客効果を期待しています。

 日本エリクソン(本社東京)とハンドスプリング(本社東京),丸紅などは共同で、ブルートゥースを使った実証実験を同年7月からスタート。利用者は配布されたPDAを使って、天気予報やニュースなどのコンテンツを閲覧できます。同年11月には山陽新幹線「レールスター」内でも実験が始まっています。

◆課題
PDAの普及が鍵に

 しかし、課題はあります。携帯電話に比べて、ホットスポットの端末となるノートパソコンやPDAを常時携行している人は少数派です。さらに、無線LANカードも持っている人となると、その数は限定されてしまいます。

 ホットスポット・サービスが本格的になるには、まずPDAなどの利用者が増えることが前提条件です。ようやく無線LAN機能付きの新型ノート型パソコンが登場し、その数は徐々に増えてくる兆しが出てきました。

 さらに、ホットスポットの有料化へ向けた仕組み作りや、無線LANカードの貸し出しサービスの検討など、これから煮詰めなければならない運用課題も残されています。

渡辺 一正 kwatanab@nikkeibp.co.jp