ウェブ・サイト「COM-ET」で、施工業者の業務を支援し、自社商品の採用に結び付ける
山本幸一コンタクト営業推進グループリーダー。「リモデル事業では施工業者との関係強化が不可欠」

商品のCADデータをネットで公開

 例えば、システムキッチンの場合、間口寸法やカウンターの高さ、材質といった項目を入力すると、電子メールやファクシミリで見積書を受け取ることができる。トイレの場合は、給排水位置や壁補強など工事に必要な情報が書かれた施工図を入手できる。

 トラブル対策は、商品分類ごとに整理して提供する。例えば、「トイレまわり」や「洗面所」などの商品分類を選ぶと、「タンク接続部から漏水する」といったトラブルの種類が一覧で表示される。さらに、それぞれのトラブルに対して、原因と解決方法を見ることが可能だ。施工業者がこれらの情報を見ることで、工事の注意点を整理できる。「トイレの『レスティカ』シリーズでは、排水パッキンの種類に気を付けないと水が漏れる」といった具合だ。

 このほか、商品のCAD(コンピュータによる設計)データや写真画像データをダウンロードすることも可能。これらを活用することで、リフォーム対象の部屋全体の設計図を作成したり、提案書を作成する手間が大きく省ける。

 こうした実務的なコンテンツに加え、英国の住宅事情などをテーマにした連載コラムも掲載。肩の力を抜いて読めるコラムを用意し、施工業者にサイトを見てもらおうと努めている。

 TOTOの山本幸一コンタクト営業推進グループリーダーは、「リフォームの場合、消費者の意欲が高まっているときに迅速に手続きを進められれば、成約の可能性は高くなる」と指摘する。さらに、複数メーカーの商品を扱っている施工業者でも、TOTOの商品を優先して採用することが期待できる。現在、商品データをダウンロードできるウェブ・ページの閲覧件数は平均で1日5万件だ。

 水彩ショップに認定したところが、消費者が満足できるだけのリフォーム工事を提供できる技術力を維持するための工夫も用意している。

 TOTOは93年から、技術力やサービスの品質が高い施工業者を対象にした「TOTOリモデルクラブ」と呼ぶ会員組織を作っている。これに加盟するには、100以上の項目を対象にした審査に合格しなければならない。

 合格した後も、毎年2月に営業担当者が施工業者を訪問し、技術力やサービス力が低下していないかを確認する。このとき、不足している部分があれば、どのようにして弱点を克服するかを経営者と話し合い、解決策を見いだす。

 リフォーム市場を攻略するための仕組みが、もう1つある。TOTOは2003年6月に「リモデル新宣言」を発表。「お客様の期待以上の『新しい生活スタイル』を約束する」ことを宣言した。

他社との業務提携を推進

 リモデル新宣言の大きな目玉は、建材メーカーの大建工業とサッシメーカーのYKK AP(本社東京)との業務提携だ。自社だけでは提供できない部分で両社と提携し、水まわりの総合的な品ぞろえとサービスを提供する。

 具体的には、2つの取り組みを進めている。1つ目は、新商品の共同開発。2つ目は、3社共同による「新商品リモデルフェア」の開催である。

 リモデル宣言の2カ月前の同年4月、3社が共同開発した商品の第1弾として、トイレと洗面所空間を構成する建材と機器をセットにした「新トイレリモデルパック」と「洗面リモデルパック」を発売した。

 この2つの商品は、消費者に対してトイレや浴室に必要な住宅設備の組み合わせを提案するというもの。ショールームやカタログに載っているトイレや洗面所を、そのまま自宅で実現できるようになる。さらに、天井に他のメーカーの商品を採用できる「床・壁パック」など3タイプを用意し、消費者の選択肢を広げた。

 商品の見積もりを希望する来場者には、営業支援システム「TETRA(テトラ)」を活用し、後日に見積書を郵送する。

集客力を8.6%向上

 もう1つの取り組みである新商品リモデルフェアは、TOTOのショールームに3社の商品を集めた共同キャンペーンである。2003年7月に第1回を開催。約1カ月かけて、全国のショールームでフェアを展開した。

 ショールームの従業員は、家族連れなどの来場者に商品の特徴を解説。販促フェアの当日は、YKK APと大建工業の社員にも駐在してもらい、商品への質問に回答できるようにした。

 TOTOによると、単独開催に比べて8.6%増に相当する約3万世帯の集客に成功している。「当社だけで増改築の際に必要な住宅設備をカバーするのは不可能。3社が強みを持つ商品を集めることで、幅広いニーズに対応できた」(山本グループリーダー)

長谷川 博 hhasegaw@nikkeibp.co.jp