ネット販売の売上高の推移 |
ネット販売の世界では、勝ち組が数社に絞られてきた。なかでも電器製品のネット販売では、これまで国内トップを走ってきたソフマップをヨドバシカメラが追い抜いた格好だ。
一気に独走態勢に入りたいヨドバシカメラは、2004年春までに品ぞろえを同社の大型店舗並みに広げる。音楽CDやDVDなどのソフト製品を除いた30万アイテムを用意する。これまでは製品本体を中心に約5万アイテムを取りそろえるにとどまっていたが、今後は周辺機器や消耗品を充実させて、顧客の利便性を向上する。
店舗の在庫をネットに回す
ヨドバシ・ドット・コムの成長は、同社の在庫回転に大きく貢献している。店舗に在庫がある製品にネットから注文が入れば、すぐにネット販売に回して売りさばく。特に新製品については、「店舗の顧客よりもネット利用者のほうが反応が高いので、在庫があればネット販売に回していく」(吉澤勉ヨドバシ・ドット・コム部長)。
同社では店舗とネット販売を区別することなく、全社で在庫を一元管理している。店舗在庫をすぐに確認できるので、ネット販売で素早く売り切ることもできる。
ヨドバシ・ドット・コムのネット販売システムは、独SAPのパッケージソフト「SAP Retail」で開発したもの。同じくSAPのERP(統合業務)パッケージで構築した基幹システムとつながっているので、在庫管理や受発注処理が連動している。こうした裏側のシステム連携が、ヨドバシ・ドット・コムの成功を後押しした。
課題はポイント還元方法
ヨドバシカメラは今、ネット販売の戦略を見直している。具体的には、ポイントの還元方法を変更すべきか検討中だ。現在は、ネット販売で獲得したポイントを店舗でしか使えない。ネット販売の顧客を店舗に呼び込むことを狙った「クリック・アンド・モルタル」の考えに基づいて、このような還元方法を採用してきたからだ。
しかし今後、品ぞろえが増えれば、ネット販売で買い物を完結させたい顧客が増えるはずだ。当然、ためたポイントはネット上で使いたくなる。近所に店舗がない顧客も多く、ポイントをネット上でも使いたいという要望は以前から上がっていた。
1800万人を超えた「ゴールドポイントカード」の会員を、店舗とネットにどう誘導していくか。ヨドバシカメラの今後の大きな焦点になる。