これまで逃していた顧客を獲得する
 ぴあは2003年2月にコールセンターを刷新する。電話回線を30から200に増加するとともに、音声認識システムを導入。オペレーターを増員せずに、チケット予約の処理件数を増やせるような体制を作る。単に、既存顧客の利便性を向上させて件数を増やすだけでなく、新規の顧客を開拓することで年間100億円の増収を狙う。

歌手の略称でも音声認識が可能

 現在、ぴあには2種類の電話受付形態がある。利用者がプッシュホンで予約手続きする自動応答形式と、オペレーターによる対話形式の2つだ。

 自動応答を利用する場合、同社の雑誌やホームページ、広告などで、チケットの種類ごとに割り当てられた「Pコード」を調べないと手続きできない。一方、オペレーターの電話は慢性的に混雑しているため、かかりにくい。そのために、これまで多くの顧客を逃していた。

 新たに導入する音声認識システムは、これらの障壁を低くするものだ。顧客が発音したアーティスト名や公演名を認識して、開催日や会場を案内する。指示通りに顧客が手続きを進めれば、予約を完了できる。

 顧客が公演名やアーティスト名を正確に言わなくても、注文に対応する点が特徴。例えば、「DREAMS COME TRUE」というアーティスト名を知らなくても、「ドリカム」といった略称さえ覚えていれば手続きを進められる。

他社の告知から顧客を誘導へ

 このシステムによって、顧客を大幅に拡大できる可能性がある。電話番号さえ知っていれば、あいまいな知識でも予約できるうえに、回線の増強でいつでも電話がつながる。

 雑誌や新聞のイベント告知や、コンサートのテレビCMをちらっと見たというだけでも、同社に電話をかければ、チケットを予約できるのである。「チケットを買う場合、まずはぴあに電話をかける」という状況を作り出すのが、同社の大きな狙いだ。

 こうした取り組みに先駆けて2002年12月に、東京と大阪の2カ所に設けていた電話番号を1つに集約した。この番号の周知を進めて、これまで逃がしていた顧客を取り込む考えだ。

長谷川 博 hhasegaw@nikkeibp.co.jp