阪急電鉄や大阪市交通局など関西圏の41の鉄道・バス事業者で構成するスルッとKANSAI協議会は、来年度から共通のICカード乗車券を導入する。5年間で500万枚の発行を見込んでおり、関西圏における電子マネー普及の立役者になりそうだ。

 導入するのは、JR東日本の「Suica(スイカ)」と同様の非接触型ICカード方式の乗車券。スイカとの違いは「後払い型」という点である。初回利用時や残高が少なくなったとき、カードを改札機に当てると一定金額がチャージ(入金)される。カードの利用金額は、クレジットカードと同じく、利用者の金融機関の口座から毎月まとめて引き落とす仕組みだ。

 利用者にとっては、残高を気にせず乗車できるメリットがある。鉄道事業者にとっても、入金機を新たに整備する必要がなく、改札機への投資だけで済む。このため、JR東日本に比べて少ない投資額になるという。協議会加盟企業で改札機を共同調達し、投資額をさらに圧縮する構想もある。

 カードの申し込み受け付けや発行、代金回収などは、JCBに委託。さらに、JCBのクレジットカード決済端末のうち、まず1万台をスルッとKANSAI対応にして、駅周辺の飲食店や小売店などでカードを利用できるようにする。店舗での利用金額に応じて運賃を割り引くサービスも計画中だ。

清嶋 直樹 nkiyoshi@nikkeibp.co.jp