東京海上火災保険は4月、ホームページ上で金融商品を設計できるシステムを稼働させた。天候デリバティブ(金融派生商品)と呼ぶ商品の販売を仲介する地方銀行や信用金庫といった金融機関の業務を支援するシステムだ。金融機関が顧客の要望を聞いて、その場ですぐ価格を算出し、見積書を作成できるようにすることで成約率の向上を狙う。

 従来は、顧客が提示した条件を金融機関から受けて東京海上が見積もりを出していた。そのため、見積書が顧客に渡るまでに2~3日、場合によっては1週間かかっていた。

 天候デリバティブは対象期間を限定した季節商品。気象要素や観測地点など契約条件の微妙な違いで価格が大きく変わるため、何回も見積もりを繰り返す必要がある。対象期間直前に見積もり依頼があったとき、即応できないと販売機会の損失につながる。金融機関は競合他社の天候デリバティブも取り扱う。見積もり作業の利便性を高めて勝ち残りを狙う。

 これまで自動車保険など個人向け商品を中心に取り扱ってきた東京海上だが、今後は企業向け商品の販売を強化していく考えだ。そのなかで天候デリバティブを重要な戦略商品と位置付けている。企業相手の場合、意思決定権を持つ経理や財務部門に接触することが重要と判断。そうした部門と強いつながりを持つ金融機関の販売網を活用する。