■ 狙い:役員が様々な切り口で人事戦略をシミュレーションして決定すること
■ コスト:NECソリューションズの人事スタッフが、自らシステムを開発
■ IT:Accessを使って開発。経営トップはウェブ・ブラウザでアクセスする

幹部社員の人員配置や給与・賞与における原資の振り分け、新入社員の採用計画、グループ企業を含めた人件費といった項目について、役員が自らパソコンを操作して、人事戦略を練られるようにしたのが特徴。人事戦略に役員らの意思を直接反映でき、しかも決定までの時間を短縮できるのがメリットである。
NECは昨年4月、社内カンパニー制を導入した際に、カンパニーの特性に応じて異なる能力主義の給与や人事制度に改めた。だが既存の人事システムは従来の制度に沿ったもので、人件費配分のシミュレーション機能などは持っていない。必要に応じて人事部門のスタッフが表計算ソフトなどで資料を作成していた。
新システムは、「人事関連のデータをすべてデータベース化しており、手元のパソコンから分析して検討できる」(NECソリューションズの菊池達昭・人事統括マネージャー)という。
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図●簡単な操作で将来の人員構成を検討できる[図をクリックすると拡大表示] |
人員構成などを多様な切り口で検討
新システム「CHRIS」は、約1万8000人の社員の経歴や取得資格、勤務状況、異動履歴などの人事情報データベースを持ち、人事戦略を様々な角度からシミュレーションできる。例えば新入社員の採用予定数や昇格・昇進の割合、退職率といった数値を変更すると、5年後や10年後など任意の時点における人員構成を年齢、役職、会社別などでグラフ表示する。
そこで、例えば中間管理職が多すぎると分かれば、昇格・昇進の基準を厳しくしたり、子会社への出向社員を増やすといった判断を下せる。
人事担当者が自らシステム開発
子会社・関連会社を含む幹部社員の人員配置を支援する機能もある。例えば、どの会社に、どのような経歴を持った社員が出向していて、それぞれが何年後に退職予定かといったデータを一覧表示できる。その際、人事情報データベースを参照して後任候補を決め、それを他の役員が参照して協議するといった使い方も可能である。
CHRISは、NECソリューションズの人事担当者が、データベースソフトのAccessを使って独自に開発したもの。
今後、他のカンパニーや関連会社にも展開していき、それぞれがCHRISをカスタマイズしたり、アプリケーションを追加することで、さらに使い勝手を高めていく考えだ。