狙い:資材調達を電子化することで、調達コストの2割削減を狙う
コスト:電子調達にかかわるコストは未定だが、情報化投資は前年比で実質増額
IT:米ビッグ3の調達ネットワークに参加

日産自動車は2月26日、米フォード・モーター、ゼネラル・モーターズ、ダイムラークライスラーが共同で立ち上げるインターネットによる部品や資材の調達ネットワークに参加することを表明した。ビッグ3合計で調達額が年間27兆円を超えるという調達ネットワークに参加することで、部品のコストを大幅に削減するのが狙いだ。

 日産は99年10月に発表した再建計画「リバイバルプラン」に沿って、部品などの調達先を絞り込む方針を明らかにしている。2000年度からの3年間で調達コストを平均20%削減する計画で、実現方法を検討していた。

 具体的にはルノーと共同で米IBMの「e-procurement」やオラクルの「i-procurement」といった大手システム・インテグレータが運営する電子調達ネットワークを利用。年内にも日産グループ全体で電子調達ネットワークに移行し、年間で数百億円程度の調達コストの削減を実現する考えだった。

 ところが米ビッグ3がそれぞれに開発、運営していた電子調達ネットワークを統合することを表明。これを受けて日産・ルノー連合もこのネットワークに参加する方針に転換した。(186ページに関連記事)

集中購買をさらに進める

2000年度に取り組む情報戦略の概要

 日産はグループにおける集中購買が一気に進むことを期待している。従来からも必要な部品や資材について、本社による集中購買を推進してきた。しかしグループ会社の購入品目の取りまとめに手間や時間がかかり、完全な実施には至っていない。

 調達をすべて電子化することで事務作業を合理化して、集中購買が一層進むと期待する。一括発注により、資材メーカーとの価格交渉を有利に進められ、より安価な調達先を開拓できると見ている。

 日産は4月から鋼板の調達先を新日本製鉄、川崎製鉄、NKKの3社に絞るなど、資材メーカーの選別を進めており、これをほかの資材や部品にも拡大する方針だ。

 日産グループが取引している部品メーカー約1万社に、ビッグ3が共同で運営するウェブ・サイトへの参加を呼びかける。対応できない取引先とは、取引を停止することもあるという。

情報戦略をグループで一本化

 ビッグ3の共同ウェブ・サイトへの参加と並行して、日産はグループ企業の情報戦略の一本化に取り組む。これまでは生産管理システムのような基幹システムも、各グループ企業が個別に構築してきたケースが多いという。

 これを改めてグループの情報システムの共通化を推進する。具体的には、グループ会社の情報化予算を、本社の経営システム部が集中管理する体制に変える。情報インフラの共通化を図るために、年内にグループ内のネットワークをすべてIP(インターネット・プロトコル)化する計画もある。この際に、通信業者が提供する高速通信サービスを利用することを検討している。

安倍俊廣toshiabe@nikkeibp.co.jp